2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラット疼痛モデルを用いたポリフェノールの鎮痛作用に関する研究
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21791481
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 元洋 産業医科大学, 医学部, 助教 (30461578)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 髄腔内投与 / 疼痛行動実験 / 抗侵害作用 / 抗アロディニア作用 / 痛覚過敏 |
Research Abstract |
本年度は神経障害性疼痛モデルにおけるポリフェノール髄腔内投与の抗侵害受容作用を検討した。Bennettらの方法(CCIモデル)で麻酔下に6週齢の雄SDラットの左側坐骨神経を4.0-絹糸で4箇所緩く結紮した。比較群にはsham手術を施した。同時に大槽からクモ膜下腔にカテーテルを尾側に向かって挿入した。熱刺激および機械刺激過敏性に対する薬物効果を調べるため(1)Plantar testを行った。患肢(左側)足底に放射熱を当て逃避反応が起こるまでの時間(潜時)を測定する方法で、CCI群は6.0±0.4秒(SD,n=32)でsham手術群の9.4±0.8秒(SD,n=8)と比較して熱性痛覚過敏を示した。続いて(2)von Frey testを行った。患肢足底に力がかかるようにフィラメントを当て、逃避反応が起こる閾値(g)を測定する方法で、CCI群は11±3g(n=32)でsham手術群の40±7g(n=8)と比較して機械的アロディニアを示した。更に(3)Paw pressure testを行った。後肢足背に32g/秒で圧をかけラットが啼くときの重さを閾値(g)とする方法で、CCI群は164±25g(n=30)でsham手術群の280±45 g(n=6)と比較して機械性痛覚過敏を示した。このCCIラットを用いてポリフェノール類のナリンゲニン、カテキン、クエルセチン、ルテオリン、ダイゼイン、クロロゲニン酸をそれぞれ10μgまたは50μg(10μL)髄腔内投与し、生理食塩水10μLの作用と比較することによりポリフェノール類の鎮痛効果を評価した。その結果、ダイゼインを除く全ての薬物で生理食塩水の作用と差が無かった。一方、ダイゼインは上記3つのテストともに反応潜時の短縮や逃避閾値の低下がみられ抗侵害作用よりむしろ痛覚過敏となる傾向がみられた。この原因について現在検討中である。
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