2010 Fiscal Year Annual Research Report
正常とパーキンソン病の高位排尿中枢の神経活動と神経伝達物質ー脳深部刺激療法の効果
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21791489
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 達也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50375755)
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Keywords | 大脳基底核 / パーキンソン病 / 線条体 / 視床下核 / 膀胱収縮間隔 / カテコラミン / local field potential / パーキンソン病モデルラット |
Research Abstract |
パーキンソン病では運動症状のみならず排尿症状もきたすことが知られている。以前我々は黒質-線条体-ドパミン系が排尿機能に関与していることを示した。 最近は進行期パーキンソン病患者に対して視床下核脳深部刺激療法(deep brain stimulation : DBS)が施行されるようになり、運動症状に有効なことは明らかになっているが、そのメカニズムは不明である。また排尿症状をはじめとした非運動症状に対する影響もわかっていない。 今回我々はまず正常SDラットを用いて視床下核DBSの膀胱収縮への影響、視床下核神経活動、線条体カテコラミン濃度への影響を検討した。視床下核DBSは膀胱収縮間隔を延長させる傾向にあった。また、DBSの前後で視床下核の単一神経活動電位測定、local field potential (LFP)の記録を行い、さらにLFPに関してDBS前後でスペクトラム解析を行った。DBS刺激後では20Hz付近のパワーが上昇することがわかった。また視床下核DBSにより対側の線条体でドパミン、ドパミン代謝産物のDOPAC, HVAが上昇したが、同側の線条体ではHVAが軽度上昇しただけであった。 更に、6-OHDA (6-hydroxydopamine)を黒質に注入し、片側パーキンソン病モデルラット(PDラット)を作成して同様の実験を施行した。視床下核DBSにより一部のPDラットでは膀胱収縮間隔を延長させたが、他のPDラットでは変化を認めなかった。視床下核LFPは視床下核DBSによりほぼ全周波数帯でパワーが減少していた。また、線条体カテコラミン濃度は刺激同側の線条体ドパミン濃度の上昇を認めたが、ドパミン代謝物変化なかった。刺激対側の線条体ではドパミン濃度の減少を認めたが、ドパミン代謝物は変化なかった。 本研究により、視床下核DBSの視床下核LFP、線条体カテコラミン濃度、膀胱収縮間隔への効果は正常ラットとPDラットで異なっており、更に線条体カテコラミン濃度は刺激同側と対側でも異なっている可能性があることが示唆された。このことはヒトのパーキンソン病においても、視床下核DBSの効果は多岐にわたることを示唆していると考えられる。
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