2011 Fiscal Year Annual Research Report
正常とパーキンソン病の高位排尿中枢の神経活動と神経伝達物質ー脳深部刺激療法の効果
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21791489
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 達也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50375755)
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Keywords | 大脳基底核 / パーキンソン病 / 線条体 / 視床下核 / 膀胱収縮間隔 / カテコラミン / local field potential / パーキンソン病モデルラット |
Research Abstract |
パーキンソン病では運動症状のみならず排尿症状もきたすことが知られている。以前我々は黒質-線条体-ドパミン系が排尿機能に関与していることを示した。 最近は進行期パーキンソン病患者に対して視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS)が施行されるようになり、運動症状に有効なことは明らかになっているが、そのメカニズムは不明である。また排尿症状をはじめとした非運動症状に対する影響もわかっていない。今回我々はまず正常SDラットを用いて視床下核DBSの膀胱収縮への影響、視床下核神経活動、線条体カテコラミン濃度への影響を検討した。視床下核DBSは膀胱収縮間隔を延長させる傾向にあった。また、DBSの前後で視床下核の単一神経活動電位測定、local field potential(LFP)の記録を行い、さらにLFPに関してDBS前後でスペクトラム解析を行った。STN-DBSにより排尿反射が抑制されること、視床下核神経活動はスペクトラム解析により20Hz付近でのパワーが上昇することを示した。線条体カテコラミンは刺激後にドパミン代謝物のDOPAC,HVAが上昇したが統計学的な有意差は認めなかった。更に、6-OHDA(6-hydroxydopamine)を黒質に注入し、片側パーキンソン病モデルラット(PDラット)を作成して同様の実験を施行した。STN-DBSにより一部のPDラットで排尿反射が抑制された。視床下核神経活動は正常ラットと異なり、ほぼ全周波数帯でパワーが減少した。線条体カテコラミンは刺激後にDOPACが有意に低下した。本研究により、視床下核DBSの視床下核LFP、線条体カテコラミン濃度、膀胱収縮間隔への効果は正常ラットとPDラットで異なっている可能性があることが示唆された。このことはヒトのパーキンソン病においても、視床下核DBSの効果は多岐にわたることを示唆していると考えられ、今後の治療メカニズムを考えるうえで重要であると考えられる。
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