2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の薬剤耐性(タキサン系)の機序についての研究
Project/Area Number |
21791495
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三輪 聰太郎 金沢大学, 附属病院, 助教 (80507070)
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Keywords | 前立腺癌 / 薬剤耐性 / CTEN / アルベンダゾール |
Research Abstract |
ホルモン非依存性前立腺癌の親株PC-3とパクリタキセル耐性株PC-3-TxRの遺伝子の発現の違いを調べるためcDNA microarray analysisによりCTENという遺伝子の発現が耐性株で減弱し、その減弱が耐性化の原因のひとつの機序であることを、強制発現やsiRNAによるノックダウン実験により明らかにした。このCTEN遺伝子発現減弱によるパクリタキセル耐性化の機序にはactinの発現の増強、およびEGFRの発現の増強が観察されたため、それらの遺伝子の発現の変化が耐性化に影響を与えているかを調べるため、actinに対するsiRNAを用いてactinをノックダウンしたり、EGFRに対するsiRNAを用いてノックダウンしたり、EGFR特異的チロシンリン酸化阻害剤を耐性株に対して使用すると、パクリタキセルに対する感受性が回復することを確認した。以上より、パクリタキセル耐性化克服にはEGFR阻害剤も有効である可能性が示唆された。また、耐性株に対する他の薬剤の抗腫瘍効果を確認するために包虫症(エキノコッカス)治療薬であるアルベンダゾールを用いて抗腫瘍効果の有無を確認した。臨床的に用いられる用量で達成することのできる血清濃度の範囲内で実験を行ったところ、0.2μMでも親株と同様に50%以上の増殖抑制を示し、耐性株でも同等の抗腫瘍効果を観察した。この結果は別のアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞株であるDU145、及びその耐性株でも同様であった。アルベンダゾールは前立腺癌のタキサン耐性に有効である可能性が示唆された。
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