2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌のホルモン非依存性進展におけるInterleukin‐6の役割の解明
Project/Area Number |
21791503
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺川 智章 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (50533759)
|
Keywords | 前立腺癌 / IL-6 |
Research Abstract |
我々はすでに、アンドロゲン除去前後でのIL-6の下流シグナル伝達系を検討している。 その結果は、アンドロゲン除去後に、IL-6高発現LNCaP細胞(LNCaP/IL-6)ではコントロールLNCaP細胞(LNCaP/Co)に比し、p44/42ERKおよびAktのリン酸化が亢進しており、LNCaPにおいては、前立腺癌細胞自身が過剰に分泌するIL-6は、アンドロゲン除去環境下において、前立腺癌細胞のアンドロゲン非依存性進展を抑制的に制御している可能性、また、その機序にはRas-MAPK及びPI3K-Akt系の活性化が関与している可能性を示してきた。 さらに、その機序の解明のために、アンドロゲン除去環境下で、ERKおよびAktのリン酸化inhibitorを加え、LNCaP/IL-6ではLNCaP/Coに比し、より顕著にその増殖が抑制され手いることを確認した。 続いて、IL-6高発現LNCaPにおいて、アンドロゲン除去によりapoptosis誘導が誘導されるその分子機構をさらに解明するため、アンドロゲン除去前後でのLNCaP/IL-6およびLNCaP/Coの網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、両群間で、アンドロゲン除去前後での両群間の増殖能に合致するようなかたちで、増殖やアポトーシスに関連する遺伝子の発現に相違を認めた。 本研究により、前立腺癌のホルモン非依存性進展において、IL-6が作用する分子機構解明の一端に新しい知見が加えられたと考える。
|