2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎虚血再灌流障害に対するHIF-1αの腎尿細管再生メカニズムの解明
Project/Area Number |
21791506
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山口 邦久 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90464346)
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Keywords | HIF-1a / IRI / 再生 |
Research Abstract |
IRIモデルマウスによる実験で、HIF-1αkd miceでは、WILD type miceと比較してBUNが高値に推移することがIRI後の血液サンプルより確認できた。腎組織における尿細管壊死の所見もHIF-1αkd miceで高度であり、さらに虚血-再灌流後24h以降も腎機能の増悪、腎機能回復が遅延していた。一方WILD type miceでは、虚血-再灌流後24hより細胞増殖の指標であるKi-67(+)細胞が、HIF-1αkd miceと比較して有意に増加しており、腎発生や腎再生時に発現するとされるPax-2(+)細胞も同様に増加していることが免疫染色で確認できた。 ATN後の尿細管再生において重要となる前駆細胞の存在については、さまざまな議論があるが、Loverreらは腎虚血障害後のANT回復期において、尿細管修復のために前駆細胞的役割を果たす細胞としてpax-2(+)細胞の出現を報告している(Transplantation 85;1112-1119,2008)。HIF-1αの有無によるこれらの相違が確認できたことから、さらに我々はIRIにおけるHIF-1αの尿細管再生制御の可能性を明らかにするため、腎虚血-再灌流処置後のHIF-1αkd mice、WILD type miceの腎組織についてマイクロアレイ解析を行った。 網羅的遺伝子発現解析の分析からストレス応答や免疫応答、細胞・組織修復に関係していると考えられる遺伝子がいくつか存在することが示唆された。そのうちA遺伝子、B遺伝子をピックアップし、今後細胞レベルでの確認とA遺伝子、B遺伝子とHIF-1αとの相互作用と、細胞内での動きや別の因子との相互作用を確認しすることで、最終的にはHIF-1αによる腎尿細管再生制御に関わる分子メカニズムを解明してゆく予定である。
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