2010 Fiscal Year Annual Research Report
3次元培養モデルを用いた前立腺発癌機構の解析とバイオマーカーの検索
Project/Area Number |
21791510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
猪口 淳一 九州大学, 大学病院, 助教 (10403924)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / マイクロアレイ / 3次元培養 / 前立腺 |
Research Abstract |
これまでに前立腺正常細泡であるRWPE-1細胞を用いた3次元培養法を確立し、同培養法を用いてアネキシンA1(AnxA1)の発現抑制によりNFκBが活性化され、標的分子の一つであるIL-6の分泌が亢進されることにより前立腺発癌に関与することを示してきた。同研究は、前立腺発癌におけるNFκBの関与を示すとともに、前立腺細胞の2次元培養と3次元培養環境下での差を示した点で非常に有意義な報告であったと考える。また、IL-6に注目し、実際の臨床サンプルを用いて前立腺周囲脂肪から分泌されるIL-6をはじめとするサイトカインと前立腺癌の組織学的悪性度との相関を検討したところ、前立腺周囲脂肪組織から分泌されるIL-6と組織学的悪性度には相関を認めた。そこで3次元培養モデルを用いて、細胞の癌化に重要な働きをしていると予測される細胞極性、分化、細胞間接着などにおいて鍵となる分子機構の解析を目的として、2次元及び3次元培養環境での遺伝子発現の違い、あるいはIL-6に暴露した3次元培養状態での遺伝子発現の違いを、cDNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に解析を行っているところである。また、これまでにRWPE-1細胞では2次元培養環境下では発現していないARが3次元培養にて発現誘導されることを確認した。ARの異常な活性化はホルモン不応性前立腺癌の原因の一つであり、その活性化の調節機構は不明な点が多い。一方、コレステロール降下薬として使用されるスタチン製剤により、血清PSA値の下降や前立腺癌リスクの低減がみられるという報告がある。そこで我々は、ARに注目して解析を行い、in vitroにおいてスタチン製剤がARの蛋白分解を促進し、ARの発現量を低下させることで感受性が低下し、前立腺癌細胞の増殖抑制がみられることを報告した。
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Research Products
(2 results)