2011 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌増殖・骨転移におけるβ2ミクログロブリン刺激伝導系の影響に関する研究
Project/Area Number |
21791512
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
野村 威雄 大分大学, 医学部, 講師 (40347034)
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Keywords | b2ミクログロブリン |
Research Abstract |
SN12C/b2M-Luc細胞を全身投与した腎癌転移マウスに、抗b2M中和抗体あるいはコントロールIgGを尾静脈より全身投与(3日連続×4週)し、2群間での転移巣発生率を比較した。中和抗体による治療群では有意に骨転移率が低下した。剖検で採取した骨転移巣組織はTUNEL染色にてアポトーシス細胞の増加を認めた。 次に腎細胞癌から手術的に採取した腎癌摘出標本パラフィン包埋切片を用いて、b2M発現を酵素抗体法を用いた免疫組織染色法にて評価した。b2M発現量を正常尿細管上皮細胞と比較したところ、腎癌細胞では有意なb2Mの高発現を認めた。さらに臨床病期分類に加えてGrade、血管浸潤との関係を統計学的に解析した。b2Mの染色強度と臨床病期分類の間には相関性は認められなかったが、Gradeおよび血管浸潤との間には有意な正相関を認めた。血管新生因子の代表であるVEGFとCD31免疫染色では、VEGFとCD31は正相関し、基礎研究で観察されたb2MがVEGFを誘導することが、腎癌摘出標本でも確認された。また手術前後に採取した血液および尿検体におけるb2M濃度をELISA法にて測定した。血液中b2M濃度は手術前後で有意な変化を認めなかったが、尿中b2M濃度は手術後有意に低下した。腎癌組織でのb2M発現量と血液および尿検体におけるb2M濃度には相関関係は認められなかった。また臨床病期分類と手術前尿中b2M濃度は正相関しており、尿中b2M濃度は術後に低下することから、尿中b2M濃度は腎癌負荷を反映していると考えられた。以上の結果から尿中b2M濃度が腎細胞癌の腫瘍増悪因子あるいは予後因子となる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)