2009 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の発症に関わるKIT-SCF遺伝子の一塩基遺伝子多型解析
Project/Area Number |
21791516
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (00381830)
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Keywords | 過活動膀胱 / Kit / 間質細胞 |
Research Abstract |
私たちはこれまでに、膀胱における自動運動発生機序について研究を行ってきた。特に消化管の自発興奮の発生・伝達および神経筋伝達を制御しているカハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal : ICC)の存在に着目し、膀胱においてもICC様細胞がc-kit遺伝子によりコードされるレセプター型チロシンキナーゼであるKitを発現し、細胞間情報伝達の経路、もしくは神経筋伝達の介在細胞として働いている可能性を報告してきた。今回の研究では、まずモルモットを用いてBOOモデルを作成し、過活動膀胱の発症機序について検討した。KitおよびKitを活性化するリガンドであるSCFの局在と量的変化につき検討したところ、Kit陽性ICC様細胞は、BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に、正常膀胱に比べ増加していた。またSCFは尿路上皮を中心に発現が増加していた。また正常膀胱とBOO膀胱におけるICC様細胞の形態学的変化、また神経や筋細胞との位置関係の違いを調べた。紡錘形をしたICC様細胞の細胞質にはミトコンドリアや粗面小胞体が豊富に存在し、細胞同士が互いに連絡しあって、神経・平滑筋とも密接している像を観察した。BOO膀胱においてはICC様細胞が一部変形しており、これらの微細構造の変化が過活動膀胱の発症につながっているものと推察された。メシル酸イマチニブ(グリベック(R))は、Kitを抑制することによりICC由来の消化管間葉系腫瘍に対しても効果が確認されている。私たちはこの点に注目し、BOOモデル動物にグリベックを投与したところ、排尿圧を変化させることなく、non-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitがICC様細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。また過活動膀胱患者のゲノムDNAを用いてc-kit遺伝子の遺伝子多型解析を行っている。過活動膀胱発症との関連性につき言及できれば、過活動膀胱の病態解明に結びつく可能性がある。
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