2009 Fiscal Year Annual Research Report

腎尿細管細胞の微細構造変化と酸化ストレス発生からみた尿路結石形成機序の解明

Research Project

Project/Area Number	21791519
Research Institution	Nagoya City University
Principal Investigator	広瀬真仁 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (70529172)
Keywords	尿路結石症 / 腎尿細管微細構造 / 細胞障害 / ミトコンドリア / オステオポンチン
Research Abstract	尿路結石形成の初期には、腎尿細管細胞障害に結石マトリックス(特にオステオポンチン(OPN))の関係が示唆されているが、詳細は不明であり、本研究では、結石形成における腎尿細管細胞の微細構造の変化とOPNの局在と動態を検討し、さらには細胞障害や酸化ストレスとの関わりを解明することで、新たな結石予防法の開発を目的としている。今年度行った研究は(1)結石形成初期の微細構造変化の検討。(2)結石形成初期のミトコンドリア変化、酸化ストレス、細胞障害の関連性の検討。(3)電子顕微鏡を用いたOPNの免疫染色法の確立。である。(1)に関しては結石モデルマウスを用い、結石形成初期過程で経時的に、詳細に検討した。結石形成モデルマウスの微細構造は、まずミトコンドリアの変形がおこり、尿細管細胞、微絨毛の崩壊、尿細管管腔内への崩壊物質の脱落、そして崩壊物質が凝集することで結晶核の形成を起こしていることが明らかになった。(2)に関しては、免疫染色法を用いて、細胞障害、酸化ストレスの関連物質を、(1)と同様の結石モデルを用いて、形成初期について検討した。酸化ストレス、細胞障害は結石形成前に出現しており、ミトコンドリアの脂質二重膜への刺激により、酸化ストレスや細胞障害が発生していると考えられた。これが原因で尿細管細胞での微細構造レベルの変化が起こり、結石形成につながるものと考えられた。(3)に関しては、組織の固定、包埋、重合、染色条件、標識するコロイド粒子の条件などを検討し、OPNの免疫染色法を確立した。今年行った研究の成果はいままで明らかになっていなかった尿路結石形成初期の機序を明らかにし、ミトコンドリアの係わった細胞障害、酸化ストレスの関連性、重要性を明らかにするものであり、ミトコンドリア保護を通した新たな尿路結石予防の可能性が考えられた。