2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームから見た尿路結石形成機序の解明とPPAR作動薬の予防効果
Project/Area Number |
21791522
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小林 隆宏 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (90534743)
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Keywords | 尿路結石 / メタボリックシンドローム / PPARγ / 脂質代謝改善薬 |
Research Abstract |
【目的】動脈硬化症と尿路結石症は類似した機序により発症するとされ、メタボリックシンドローム(Mets)も一因と言われている。Metsの治療薬としてPPAR (peroxisome proliferator-activated receptor)作動薬があり、α作動薬、γ作動薬ともに用いられている。今回、シュウ酸カルシウム(CaOX)結石形成モデルratに対し、PPARγ作動薬を投与し腎におけるCaOX結晶形成に対しての効果を検討した。 【対象・方法】 シュウ酸カルシウム染色(pizzolata染色)にて、形成された腎結石の形態的な評価を行った。また、シュウ酸カルシウム結石のマトリックスであるオステオポンチン(OPN)と、炎症関連遺伝子であるMCPI・CD68、さらに脂質代謝関連遺伝子であるアディポネクチン(APN)の発現を、定量RT-PCRおよび免疫組織染色にて比較した。 【結果】 PPARγ投与群ではpizzolato染色にて、EG群と同様に結晶は腎皮髄境界部の尿細管腔内に観察されたが、集塊は小さく、周囲に細かな結晶が散在していた。さらにPPARγ投与群ではOPN、MCP1、CD68といった結石・炎症関連遺伝子の発現は低下しており、酸化ストレス関連遺伝子であるSODの発現は上昇していた。しかし、尿中シュウ酸・クエン酸の排泄量や、APNの発現に差は見られなかった。 以上のことよりPPARγ作動薬はシュウ酸代謝に働いて結石形成を抑制するのではなく、抗酸化作用により結晶形成を抑制することが示唆された。
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Research Products
(3 results)