2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌発癌機序における活性酸素関連遺伝子の多型解析
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21791524
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井口 太郎 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80529206)
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Keywords | 腫瘍学 / 前立腺癌 / 酸化ストレス / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
【目的】前立腺癌(PCa)におけるMnSOD遺伝子多型(V16A)の解析はいくつかの研究により検討されているが,その見解は一定していない.我々はMnSOD-AA型が潜在癌においてリスクファクターであることを明らかにした(UROLOGY 72, 238, 2008).今回,我々は臨床的悪性度を伴った潜在PCa (significant PCa)と臨床的悪性度を伴わない潜在PCa (insignificant PCa)におけるMnSOD遺伝子多型を検討した.【方法】前立腺の病歴のない剖検前立腺194検体(45-92歳)の全標本病理学的検索を行い,genomic DNA抽出した.そのDNAをPCR-RFLF (PCR restriction fragment length polymorphism)法にて解析を行った.【結果】186例中57例(30.6%)にPCaが発見され,31例がsignificant PCaで26例がinsignificant PCaであった.significant PCaは70歳以下でPCaの29%,71歳以上でPCaの58%を占めていた.MnSOD-AA型はPCa全体でOR=1.90(95%CI=0.97-3.71)であったが,significant PCaではOR=2.86(95%CI=1.10-7.40)であった.更に71歳以上のsignifiant PCaではOR=4.89(95%CI=1.74-25.7)であったが,70歳以下では相関を認めなかった.insignificant PCaでは年齢によらず,MnSOD-AA型と相関を認めなかった.MnSOD-AA型はsignificant PCaのリスクであると考えられる.また,significant PCaのinsignificant PCaに対するMnSOD-AA型相対危険度は71歳以上の群において,5.04(sensitivity=0.58 ; positive predictive value=0.79)と考えられた(現在,投稿中).今後,更に酸化ストレス関連遺伝子における遺伝子多型解析をすすめる予定である.また,MnSOD-AA型のsignificant PCaが5αreductase inhibiterにより発生が抑制されるPCa(PCPT試験,REDUCE試験)との関連を酸化ストレス関連遺伝子の面から解析予定である.
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