2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌における分岐型ジシアリル糖鎖の作用機序の解明と治療応用の基礎的検討
Project/Area Number |
21791534
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
土田 明子 The Noguchi Institute, 研究部, 研究員 (70378024)
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Keywords | 腎癌 / 糖脂質 / 糖転移酵素 / ジシアリル糖鎖 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
腎癌細胞株に発現している糖脂質糖鎖の解析により、Dislalyl糖鎖の発現パターンの変化が腎癌での悪性化や転移性に関連していることが推測された。腎癌細胞株にはGlobo系列、Lacto系列を含むDlsialyl糖鎖が存在するが、本研究ではとくにLacto系列のDisialylLc4(DSLc4)の末端にGarNAcがβ1-4結合した新しいDisialyl糖鎖(GalNAc-DSLc4)の合成機構と機能の解析を行った。これまでに、GalNAc-DSLc4の合成に関わる糖転移酵素遺伝子β4GalNAc-T2を、GalNAc-DSLc4糖鎖抗原をほとんど発現していない腎癌細胞株に遺伝子導入し、糖鎖リモデリングの結果惹起される表現型の変異を解析してきた。GalNAc-DSLc4安定発現株の癌性形質(増殖能・浸潤能)については、コントロール細胞株と比べ増殖度・浸潤能の亢進が認められている。また、リアルタイム細胞形態計測システム(RT-CES)を用い、さまざまな細胞外基質をコーティングした表面に対する細胞の接着挙動を調べた結果、GalNAc-DSLc4安定発現株はラミニンコーティングプレートに特異的に接着することが明らかになっている。さらにラミニン表面に対する接着は抗インテグリンα3抗体の存在下、強く阻害されることも分かっている。ラミニンとの結合に関わる援着分子インテグリンの細胞表面における局在を調べたところ、安定発環株ではインテグリンβ1がraft domainにも存在していることが明らかになったが、インテグリンα3の局在についてはまだ明らかにできていない。また、安定発環株に見られるラミニンへの接着挙動に関わっていると予想された分子について、real tlme-RT-PCRにより遺伝子発現量を調べたところ、インテグリンβ1およびコアフコース転移酵素(FUT8)のそれぞれのmRNAの発現量がコントロール細胞株に比べ、上昇していることが明らかになった。
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