2010 Fiscal Year Annual Research Report
淋菌の感染細胞における細胞周期の分子機構と病原性に関する研究
Project/Area Number |
21791535
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
志牟田 健 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (40370960)
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Keywords | 淋菌感染症 / 細胞周期 |
Research Abstract |
Jonesらの報告(The FASEB Journal. 2007 ; 21 : 345-355)で淋菌感染HeLa細胞は感染24時間後にサイクリンB1、サイクリンD1、サイクリンEの量的な減少を伴い、G1停止をおこす事が示されているが、そのメカニズムについては不明な部分が多い。淋菌感染症の病態を考えた上で持続感染が持つ意義は完全に理解されておらす、宿主細胞の細胞周期停止という視点で研究を推進する事は新しい知見を得ることが期待できる。本研究では、宿主細胞に対する影響を淋菌感染細胞の細胞周期停止という視点より解明をめざしている。昨年度までに、淋菌感染によって引き起こされるG1停止の普遍性について検討するために、系統的に異なる(MLSTによる解析)株についてG1停止能について検討した。その結果、検討した20株では、有意にG1期停止を起こした株は認められなかった。この事は、Jonesらが実験に用いた菌株と本研究に用いた株が全く異なる系統であるか、もしくは実験条件が異なっていた事が推察された。本年度は、初年度と異なる感染条件の検討及び系統別の淋菌感染時おけるサイトカイン産生の量的変化の解析を行った。感染条件をMOI=10, 50, 100, 500とし、感染時間は1時間から3時間まで一時間単位で検討した。感染に用いた淋菌株は、前年度の20株と更に系統の異なる20株について検討した。 G1期停止の確認はcdk2のリン酸化状態を指標にウエスタンブロットにて確認した。サイトカイン産生の量的変化はELISAにょりIL-8, TNF-α及び、BMP-RIAを調べた。その結果、新たに検討した20株中の2株は他の18株と比べて僅かにcdk2のリン酸化状態に差がみられた。しかし、G1期停止の陽性コントロールとしてthymidine処理した細胞と同程度の株は今回検討した40株の中にはみられなかった。また、上記の2株を含む系統の異なる10株について淋菌感染時におけるサイトカイン産生の量的変化を調べたが、菌株間における有意差は認められなかった。
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Research Products
(3 results)