2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト上皮性卵巣癌におけるマイクロRNA発現の網羅的解析
Project/Area Number |
21791537
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤平 純一 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90359505)
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Keywords | マイクロRNA / 卵巣癌 |
Research Abstract |
婦人科疾患におけるマイクロRNA(miRNA)の重要性について検討するため、まず我々は卵巣および子官の漿液性腺癌についてmiRNAの発現を検討した。通常型の類内膜腺癌をコントロールとして、miRNAマイクロアレイを行い、漿液性腺癌において高発現(54遺伝子)あるいは低発現(66遺伝子)したmiRNAを抽出した。これらについて、予後を含めた臨床病理学的因子との比較を行った。その結果、miR101,miR10b,miR139,miR29b,miR152,miR455の低発現が有意な予後不良因子となることが判明した。細胞株に対してmiR101あるいはmiR152を遺伝子導入した結果、細胞増殖が抑制された。さらに、COX2の陽性率がmiR101の発現低下と関係していることも発見した。以上の所見より、miRNAの発現低下が漿液性腺癌の予後因子となることが明らかにされた。 さらに、漿液性腺癌において発現が低下しており、他領域の癌においても予後因子あるいは癌抑制遺伝子といて報告されているmiR34bについて詳細を解析した。miR34bは漿液性腺癌の組織および細胞株いずれにおいても低下していた。miR34bのプロモータ領域のメチル化をバイサルファイトシークエンス法により解析したところ、この発現の低下はプロモータ領域のメチル化と有意に相関しており、メチル化による発現低下と考えられた。また、miR34bの発現が低い細胞株に遺伝子導入により強制発現させると、細胞の増殖能低下、アポトーシスの増加、浸潤能の低下が認められ、このmiRNAが癌抑制遺伝子的な機能を有していることが推察された。一方で、類内膜腺癌由来の細胞株ではmiR34bの発現の低下およびプロモータ領域のメチル化は認められず、この発現の低下は悪性度の高い漿液性腺癌に特異的な変化である可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)