若年婦人子宮頸癌発症要因としての喫煙に関する調査研究

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21791545
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 西野 幸治 Niigata University, 医歯学総合病院, 助教 (70447598)
• Keywords: 子宮頸癌 / 喫煙 / 毒物代謝酵素遺伝子多型 / 癌抑制遺伝子メチル化

Research Abstract

1. 子宮頸癌の発症に及ぼす喫煙の影響を確認するため、疾患群(子宮頸癌患者)ならびに対照群(子宮頸部細胞診に異常が見られない健常者)での喫煙率を調査したところ、喫煙率は疾患群で41%、対照群で18%と、有意に疾患群での喫煙率が高率であった。
2. ヒトパピローマウイルスの感染については、疾患群で96%、対照群で10%ともちろん疾患群で有意に高い感染率であったが、喫煙とヒトパピローマウイルス型分類については現時点で明らかな関連性は見られていない。
3. PCR法(TaqMan法)によるCYP1A1, CYP2E1, CYP2A6, NQO1, NAT2, mEH, MPO, GSTT1, GSTM1といった9つの毒物代謝酵素の遺伝子多型判定を行ったところ、GSTM1 null型(解毒活性を持たない)の頻度が、疾患群で62%、対照群で47%と疾患群で有意に高率であった。他の遺伝子多型については両群間で差を認めていない。
4. 癌抑制遺伝子のエピジェネティックな変化として、メチル化による機能抑制を介した癌化メカニズムが報告されている。喫煙によりメチル化が促進されるとの報告もあり、p16、MGMT、DAPK、FHITといった4つの癌抑制遺伝子のメチル化状態をメチル化特異的PCRにて検討したが、現在のところ疾患群と対照群におけるメチル化の頻度には差を認めていない。
現時点で、喫煙は子宮頸癌発症に対する影響があると考えられ、さらにGSTM1 nullの個体においてその影響が強いものと思われるが、そのメカニズムについてはさらなる検討を要する。