2010 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群の病態解明ーサイトカイン分泌に対するオートファジー応答の観点から
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21791546
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 彰俊 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00436792)
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Keywords | オートファジー / 妊娠 / 妊娠高血圧症候群 / サイトカイン / 可溶型エンドグリン |
Research Abstract |
今回の研究では、胎盤形成不全が起因となる妊娠高血圧症候群(PIH)の病態解明にオートファジーが如何に関与するかを検討した。我々はこれまでにEVT(絨毛外栄養膜細胞)細胞がオートファジーを活性化させ、低酸素下で浸潤することを明らかにしてきた。一方で、オートファジーと病態メカニズムの直接の原因は証明できていなかった。そこで申請者は、PIH関連サイトカイン等のEVTにおけるオートファジーへの影響、特にオートファジー抑制を起こすものがないかを初めに検討した。 可溶型エンドリン(sEndoglin)は抗血管新生作用をもつことが知られているが、sEndoglin存在下の共培養によりEVTセルライン2種類においてオートファジーが抑制されることが分かった。さらに、低酸素刺激によって活性化するEVT浸潤が、sEndoglin下には抑制されることが分かった。また、浸潤に関わるMMP2/9にも低下を認め、血管阻害因子であるsEndoglinがEVT浸潤不全に関与する可能性が示唆された。さらに、炎症性サイトカインであるTNFαは、EVT細胞の浸潤を抑制することが報告されてきたが、オートファジー欠損EVT細胞の浸潤をさらに強く抑制することが分かった。このことは、オートファジー抑制下(sEndoglin存在下)での炎症(TNFα)が、同有意なEVT浸潤不全を示す可能性を示唆するものである。これまで詳細なメカニズムが分からなかったPIH病態解明の一端が、オートファジーによって明らかになる可能性を示すことができた。
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