2009 Fiscal Year Annual Research Report
晩産化が母児へ与える影響-酸化ストレスによるエピジェネティクス制御の視点から
Project/Area Number |
21791550
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
梅川 孝 Mie University, 医学部・附属病院, 助教 (80422864)
|
Keywords | 酸化ストレス / Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD) / 妊娠 / 耐糖能異常 / thioredoxin / Pancreas duodenum homeobox-1 / 肥満 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
1. ヒトチオレドキシン-1(以下hTRX-1)過剰発現マウス(以下Tg)を用いたこれまでの検討から、抗酸化系機構が胎児発育および出生後の耐糖能に影響を与えている事を確認しており、Tg群では胎盤における酸化ストレス産生が抑制され胎児発育が促進される一方で、出生後、離乳期(4週齢)では野生型群との間に耐糖能に有意な差を認めなかったが、成獣期(10週齢)にインスリンの分泌低下を伴う耐糖能の悪化を認めた。そこで今回、抗酸化系機構が出生後の糖代謝へ与える影響を検討したところ、膵臓のInsulin 1およびInsulin 2の遺伝子発現は、4週齢および10週齢において両群間に有意差を認めなかったが、Panereas duodenum homeobox-1は4週齢および10週齢においてTg群で有意に発現が抑制されていた。すなわち、抗酸化系機構が膵臓β細胞の機能形成やその維持に関与している可能性が示唆された。 2. 肥満妊娠は母体のインスリン抵抗性を増大させ、胎児にも影響を与える可能性がある。今回、高脂肪食負荷肥満妊娠モデルマウスを調整して、肥満妊娠が胎仔の発育および代謝に及ぼす影響について検討した。高脂肪食群の母獣は標準食群に比して肥満と耐糖能低下を認めたが、胎仔・胎盤重量は差がなかった。しかし、高脂肪食群の胎仔では脂肪細胞が肥大化し、血糖値および血中インスリン値が有意に高値を示した。すなわち、高脂肪食負荷による肥満妊娠においては、胎生期より仔にインスリン抵抗性が生じている可能性が示唆された。 これらの結果は今後、晩産化による母体の酸化ストレスや耐糖能の変化に対する児への影響を検討していく上で有用なものであり、これらの結果に基づいてさらに研究を進めていく予定にしている。
|
Research Products
(19 results)