2010 Fiscal Year Annual Research Report
晩産化が母児へ与える影響一酸化ストレスによるエピジェネティクス制御の視点から
Project/Area Number |
21791550
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
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Keywords | 母体生活環境 / 食生活の欧米化 / 高脂肪食 / 胎児プログラミング / DOHaD / 高血圧 / 糖脂質代謝異常 |
Research Abstract |
晩産化が母児へ与える影響を検討する上で、母体の生活環境の変化は重要な交絡因子となることが想定された。そこで、食生活の欧米化に伴う母体の脂質摂取量増加が、次世代の血圧ならびに糖脂質代謝へ与える影響について検討を行った。 雌性マウスに脂肪エネルギー比率45%の高脂肪餌(以下H)または同比率10%のコントロール餌(以下C)を6週間与え雄性マウスと交配し、分娩まで同じ餌を継続した。新生仔は仔数を母獣1匹当たり7-10匹に調整し、C群母獣に哺乳させた。仔は3週齢で離乳後、Cで飼育し母獣の餌によりそれぞれHC群とCC群とに分け、雄性仔を対象として血圧および糖脂質代謝を検討した。その結果、H群母獣における交配前、妊娠10日目および18日目の脂質摂取カロリーはC群と比較し4-5倍増加していた。また、仔の離乳以後の累積摂取カロリーは、若年期以降HC群で有意な減少を認めたが、体重は両群間に有意差を認めなかった。成獣期においてHC群で血圧の有意な上昇に加えブドウ糖負荷試験で耐糖能の有意な悪化を認めた。さらに、24時間絶食後の再摂食試験では、HC群において再摂食後の血中遊離脂肪酸値、トリグリセリド値に有意な高値を認めた。以上より、母体の食生活の欧米化が次世代の血圧および糖脂質代謝へ影響を及ぼしうることが確認された。すなわち、晩産化の影響を検討する上で、食生活等の母体の生活環境の変化についても考慮する必要かあることが示唆され、今後の検討に有用な情報を得ることができた。
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