2009 Fiscal Year Annual Research Report
タイプ2子宮体癌における癌幹細胞の同定およびターゲット治療の探索
Project/Area Number |
21791552
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬場 長 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60508240)
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Keywords | 子宮体癌 / 転移抑制 / マイクロアレイ / エピジェネティック / ターゲット治療 |
Research Abstract |
平成21年度にはマイクロアレイを用いた子宮体癌のゲノムワイドな解析およびエピジェネティックな遺伝子発現解析を行った。当研究では癌幹細胞など子宮体癌において活発な転移形態や化学療法への高い抵抗性を示す予後不良な細胞集団の存在を明らかにし、予後不良なType2子宮体癌に特異的に発現変化が見られる遺伝子の中から分子標的治療の対象となる分子を同定することを当研究の目的としている。そこでまず子宮体癌57例のマイクロアレイ解析を行い、転移抑制分子metastinの受容体であるGPR54の遺伝子発現がType2体癌で低いことが示唆されたため、子宮体癌におけるGPR54の発現制御およびその機能を検討した。まず、92例の子宮体癌臨床サンプルにおいてmetastinおよびGPR54の免疫組織染色を施行したところ、Type2体癌で有意に発現が確認され、生存率解析でもGPR54発現低下群は有意に予後不良であった。さらにmetastin添加により子宮体癌細胞株の浸潤が制御されることを確認し、エピジェネティックな遺伝子発現解析にてGPR54発現低下は遺伝子プロモーター領域のメチル化によってもたらされていることを確認した。以上より、メチル化阻害剤とmetastinを組み合わせることでGPR54発現低下子宮体癌の予後が改善される可能性が示唆され、下記学会発表を行った。同様に、腫瘍細胞の浸潤・播種に影響を及ぼす腫瘍周辺の微小環境の検証や、マイクロアレイ解析の妥当性について他臓器癌モデルでの検証、さらに他の予後規定遺伝子のエピジェネティックな発現解析も並行的に行い論文発表することで、当研究手法の妥当性・重要性を確認している。他方、予後不良な子宮体癌の多様な病態を明らかにするために積極的に症例報告を行い、常に臨床に即した研究計画の推進を目指している。
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