2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791554
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬淵 誠士 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (00452441)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / 卵巣漿液性腺癌 / VEGF / Bevacizumab / 血管新生促進因子 / 耐性化機構 |
Research Abstract |
我々は先行研究として、平成20年に抗VEGF中和抗体であるBevacizumabの投与によって卵巣漿液性腺癌が産生するVEGFを阻害すると、マウスに移植された卵巣漿液性腺癌の増殖や腹水産生が抑制され、マウスの生存期間が延長できることを証明し報告した(Mabuchi S, et al.Clin Cancer Res 2008)。 "血管新生阻害剤Bevacizumab(抗VEGF中和抗体)に対する耐性化機構の解明"を行うにあたって、平成21年度は、まず、日本人では二番目に多い組織型とされる卵巣明細胞腺癌におけるVEGFの発現およびその治療標的としての意義を検討することとした。 そのために、卵巣明細胞腺癌および漿液性腺癌からなるTissue Microarray(TMA)を作成した(Mabuchi S, Clin Cancer Res 2009)。 作成したTMAを用いた免疫組織染色により、卵巣明細胞腺癌においてVEGFが非常に高頻度に発現していることが証明され、また引き続いて行った卵巣癌マウスモデルを用いた研究により、卵巣明細胞腺癌が産生するVEGFをBevacizumabによって阻害すると、血管新生が抑制され、マウスに移植された卵巣明細胞腺癌の発育が有意に抑制されること、つまり、Bevacizumabが卵巣明細胞腺癌の治療薬となりうることを証明し、現在、癌専門誌に投稿中である(Mabuchi S, Clin Cancer Res, under review)。 平成20年の先行研究および平成21年に行った研究により、(1)日本人の卵巣悪性腫瘍の大半を占める漿液性腺癌および明細胞線癌においてVEGFが高頻度に発現し、(2)Bevacizumabが有意な治療効果を示す、(3)Bevacizumabが抗腫瘍効果を示した後も、長期にわたって継続投与すると、漿液性腺癌も明細胞線癌も次第にBevacizumabに耐性を示すようになり、再増殖することが明らかとなった。つまり、これら二つの組織型の卵巣癌はBevacizumab耐性化機構を研究する適切なモデルであることが示されたわけである。 これらの結果を受けて、続いてBevacizumab耐性化機構を解明するための研究を行っている。一つ目に、TMAを用い、卵巣漿液性腺癌および明細胞腺癌においてどのようなVEGF以外の血管新生促進因子が発現しているか?を免疫組織染色法にて検討中である。また同時に、Bevacizumab投与中のマウスから経時的に血液を採取し、Bevacizumab投与中にどのような血管新生促進因子が活性化してくるか?をELISA法によって検討しているところである。
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Research Products
(1 results)