2009 Fiscal Year Annual Research Report
I型、II型子宮体癌に着目した新規分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
21791562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 貴史 Kyushu University, 大学病院, 助教 (70380417)
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Keywords | 活性酸素種 / senescence / K-ras / 分子標的治療 |
Research Abstract |
【目的】p53依存的p21の発現亢進は細胞老化誘導の分子ターゲットである。このプロセスには活性酸素種(reactive oxygen species : ROS)が関与する。活性化型K-rasにより造腫瘍能を獲得したNIH3T3細胞をモデルとした細胞増殖、老化誘導機構に細胞内ROSがどう関与するか検討した。 【方法】1)活性化型K-rasおよびdominant negative ER (DNER)を単独または共に発現するNIH3T3細胞(K12V、K12VDNER細胞)を樹立し、細胞増殖能を解析した。2)老化誘導能をβ-galactosidase (β-gal)染色、細胞内ROSレベルをamynophenyl-fluorescin (APF)蛍光染色後にFACS法を用いて解析した。3)ROS緩衝剤であるN-acetyl-L-cystein (NAC)を用いて細胞老化誘導能の変化を観察した。4)各蛋白発現をWestern blots法で検討した。 【成績】1)K12V細胞はERの転写活性機能が亢進し、K12VDNER細胞ではERの機能が抑制された。K12VDNER細胞はK12V細胞に比べ、細胞形態は大型かつ扁平化し、細胞周期はG1期に集積して増殖能は有意に抑制されていた。2)7日間培養後のβ-gal陽性細胞数はコントロール細胞(mock)とK12V細胞ではそれぞれ1.0%、4.7%であったのに対し、K12VDNER細胞では32%と増加し細胞老化が誘導された。3)mockに比べK12VDNER細胞では2.2倍に細胞内ROSレベルが増加していた。4)ROS緩衝剤NACの添加によりK12VDNER細胞のSA-βgal陽性細胞が7.3%に減少する一方で増殖能は増大した。4)K12VDNER細胞では、K12V細胞に比べてp38MAPK、p53、p21の発現亢進を認めた。 【結論】活性化型K-rasにより亢進した内因性ER機能を抑制することにより誘導される細胞老化には、細胞内ROS産生が関与する。ROSを阻害すると細胞老化誘導が回避できることから、ROSを介する細胞老化シグナルの存在が示唆された。
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Research Products
(2 results)