2010 Fiscal Year Annual Research Report
I型、II型子宮体癌に着目した新規分子標的治療法の開発
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21791562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 貴史 九州大学, 大学病院, 助教 (70380417)
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Keywords | senescence / apoptosis / I型、II型子宮体癌 |
Research Abstract |
【目的】Sodium Butyrate (NaB)は腸内細菌によって、食物繊維が発酵することで産生される短鎖脂肪酸で、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC-I)に分類される。さまざまな癌細胞株でアポトーシスを誘導し、低濃度のNaB処理では婦人科癌細胞株で細胞老化死を誘導することが報告されている。NaBにおける癌細胞死誘導においてCDKインヒビターであるP21の誘導がG1もしくはG2 arrestに深く関与することが報告されているが、詳細な分子機構に関しては不明な点が多い。また細胞老化には活性酸素種(ROS)が関与することが報告されている。本研究では、NaBによる癌細胞死誘導能と細胞内ROSとの関与を検討し、その作用機構を解明することを目的とした。 【方法】1)子宮頸癌細株Hela細胞、大腸癌細胞株HCT116細胞の2株を用いて、さまざまな濃度のNaBで処理を行った。2)細胞周期変化をFACS法、細胞老化誘導能をβ-gal染色、細胞内ROSレベルを蛍光色素である(ACF)を用いてFACS法で解析した。3)DNA double strain break (DSB)のマーカーである、ATMやγH2AXなどの蛋白発現量の変化をWestern Blotting法で解析した。 【成績】1)低濃度のNaB添加において、G1期あるいはG2/M期の増加とβ-gal染色陽性細胞の増加を認め、細胞老化死が誘導された。高濃度のNaB添加では、両株ともsubGI期の増加を認め、apoptosisの誘導が示唆された。2)NaBによる癌細胞死誘導時に細胞内ROSの増加を認めた。3)NaBによる癌細胞死誘導時にATM、γH2AXの蛋白発現量の増加を認めた。 【結論】1)NaBは低濃度で細胞老化、高濃度でapoptosisを誘導した。2)NaBによる癌細胞死誘導時には細胞内ROSレベルが上昇するとともにDSBのシグナルの関与が示唆された。
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Research Products
(2 results)