2009 Fiscal Year Annual Research Report
パクリタキセル投与時の過敏症発現の解明および予防に関する研究
Project/Area Number |
21791563
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢幡 秀昭 Kyushu University, 大学病院, 助教 (30404065)
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Keywords | 過敏症発現 / パクリタキセル |
Research Abstract |
パクリタキセル(以下TXL)による過敏症の発現機序は、I型過敏症に類似しているので免疫学的関与、あるいは初回投与での発現例もあることからヒスタミン遊離作用等による非免疫学的機序も示唆されているが、明らかな機序は不明とされている。TXL投与前30分前に予防薬を投与する簡易型前投薬(Short premedication:以下SP法)の用法用量が当初の方法と同等の効果があるとして簡便な方法であるために普及してきた。われわれもSP法に変更し治療を行ったが、当初LP法に比べ過敏症の発現が多いことを報告した(19% vs 4% : χ^2, P<0.05)。このように現行のSP法ではTXLの過敏症を十分に抑制できないと考え、われわれはTXL過敏症発現の機序の解明と有効な薬剤の探索を開始した。そこで動物実験においてラットにTXL (15mg/kg)の静脈内投与を行い、肺組織へのEvans blueの漏出、肺胞洗浄液中の神経伝達物質および酸素分圧の測定を行い、抗アレルギー剤であるペミロラストを投与する群と非投与群では投与群において酸素分圧の低下を抑制し、肺胞洗浄液でのsubstance PやCGRPなどの神経伝達物質も有意に低下したが、ヒスタミンには変化を認めなかった。動物実験によりラットにおいてパクリタキセル過敏反応のモデルにおいて従来の前投薬の目的であるヒスタミンは関与していないことを我々は解明した。そこで、肥満細胞およびヒスタミン以外のメディエーターとして知覚神経の神経ペプチドに着目して検討を行い、ヒト卵巣癌患者においてもラットと同様、HSR発症に神経ペプチドが関与しているかを検討するため、パクリタキセル投与によるSubstance PやCGRPの血中濃度の変化をTXL投与前および投与5分後に採血により測定し、HSR発症との関連について検討を行った。HSR発症群においてSubstance PやCGRPの血清濃度は上昇している傾向を認めたが、有意差は認めなかった。一方、同時に行った二重盲検法ではペミロラスト投与群で有意にHSRの抑制効果を認め、以前に報告した結果の追試となった。
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Research Products
(1 results)