2011 Fiscal Year Annual Research Report
パクリタキセル投与時の過敏症発現の解明および予防に関する研究
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21791563
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢幡 秀昭 九州大学, 大学病院, 助教 (30404065)
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Keywords | 過敏症発現 / パクリタキセル |
Research Abstract |
パクリタキセル(以下TXL)は卵巣癌をはじめ、婦人科悪性腫瘍に対して広く使用されている抗悪性腫瘍剤であるが、TXL投与により呼吸困難や紅潮などの過敏症(以下HSR)により治療に苦慮することがある。HSRの発現機序は、I型過敏症に類似しているので免疫学的関与、あるいは初回投与での発現例もあることからヒスタミン遊離作用等による非免疫学的機序も示唆されているが、明らかな機序は不明とされている。TXL投与30分前に予防薬を投与する簡易型前投薬(Short premedication:以下SP法)の用法用量が当初の方法と同等の効果があるとして簡便な方法であるために普及してきたが、当初上LP法に比べ過敏症の発現が多いことを報告した。また、動物実験においてTXLのHSRにはsubstance PやCGRPなどの神経伝達物質が関連し、ヒスタミンはHSR発症に因果関係が低いことを証明した。そこで、肥満細胞およびヒスタミン以外の知覚神経の神経ペプチドに着目して検討を行い、ヒト卵巣癌患者においてもHSR発症に神経ペプチドが関与しているかを検討するため、パクリタキセル投与によるSubstance PやCGRPの血中濃度の変化をTXL投与前および投与5分後に採血により測定し、HSR発症との関連について検討を行った。HSR発症群においてSubstance PやCGRPの血清濃度は上昇している傾向を認めたが、有意差は認めなかった。そこで最近国内承認されたNK1の選択的拮抗薬であるアプレピタントは主にNK1知覚神経ペプチドを抑制してSubstance Pを低下させ、遅延性悪心・嘔吐を予防する薬剤であるが、前述の我々の研究結果からも分かるように、TXLのHSR発症を予防する可能性を有している。そこで今回我々はTC療法におけるアプレピタントのHSRの予防効果について二重盲検法で検討した。また、TXLにより惹起される関節痛や筋肉痛も知覚神経ペプチドが関連していることが報告されており、HSR発症と同時に遅延性悪心・嘔吐や関節痛、筋肉痛についても検討を行った。
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Research Products
(3 results)