2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌幹細胞及び子宮内膜幹細胞の同定と新規分子標的治療の開発
Project/Area Number |
21791564
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
恒松 良祐 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (20380529)
|
Keywords | 子宮体癌幹細胞 / 子宮内膜幹細胞 / SP細胞 / Ras / ER経路 / 細胞老化 |
Research Abstract |
組織幹細胞の同定に使用されるHoechst33342の取り込みの低い分画の細胞(side population cells、以下SP細胞)をフローサイトメトリー法により分離する方法を用いて、正常子宮内膜細胞株hEMでのSP細胞分画の分離を試みた。しかしSP細胞の存在割合は概ね1%以下と非常に少ないことが明らかとなった。次にhEMより多くのSP細胞を回収するための至適培養条件を見いだすために、基礎培地DMEMに加える血清、各種増殖因子の条件検討を行った。血清濃度を1%とし、それぞれ最終濃度10ng/mlとなるようにbFGF、TGFβ、TGFα、EGFを添加した培地を調製し、hEMを6日間培養した後にフローサイトメトリー法でSP細胞の割合を検討した。bFGF、TGFβ、TGFαを添加した細胞ではSP細胞の存在比率は0.01~0.05%であったが、EGFを添加した細胞ではSP細胞の存在比率は4.3%であった。現在までのところEGFを添加した際にSP細胞の割合が増加する理由は不明であるが、少なくともhEMのSP細胞を効率よく回収するには、EGFを添加した培地を用いる方がよいことが明らかとなった。このようにして回収したSP細胞に、Ras/ER経路に関わる遺伝子群(活性型K-Ras、HER2など)を導入し、SP細胞の存在比率に影響を及ぼすかどうかの検討を試みたが、hEMそのものの遺伝子導入効率が非常に悪いため、その効果を確認することは出来なかった。一方でヒト月経血(月経1日目~2日目)より回収した子宮内膜細胞を5日間培養した後、hEMと同様の方法を用いてSP細胞の存在比率を検討したところ、およそ2%前後のSP細胞が存在していることが明らかとなった。このようにして回収したSP細胞と非SP細胞を用いてコロニーフォーメーションアッセイを行ったところ、非SP細胞では20日間培養後もほとんどコロニー形成を認めなかったが、SP細胞では効率よくコロニーを形成した。以上の結果よりヒト月経血より回収したSP細胞は非SP細胞と比べて自己複製能の高い細胞集団であることが明らかとなった。
|