2010 Fiscal Year Annual Research Report
ディフェンシン遺伝子群ゲノム構造多型に注目した子宮頸癌感受性個体差の解明
Project/Area Number |
21791566
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三嶋 博之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, COE研究員 (10513319)
|
Keywords | 婦人科腫瘍学 / ヒトパピローマウイルス |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は,子宮頸癌の発症に深く関わっている。しかし,HPV感染がすぐに子宮頸癌を引き起こすことはなく,感染者のほとんどにおいては2年以内にHPVが消失する。さらに,持続感染成立後に長期の経過を経て,ごく一部の患者でのみ子宮頸癌発症に至ることが知られている。しかし一体何がこの感受性の個体差をもたらすのかは,いまだ不明である。感染防御タンパクの一種であるディフェンシンは,子宮頸部をはじめとする婦人科領域で発現しており、HPVなどに対する抗ウイルス能を持つことが報告されている。これらをコードするディフェンシン遺伝子群の一部は,新規ゲノム構造多型のひとつ「コピー数多型」を持っており,ディフェンシンタンパク産生能の個体差をもたらしていることが明らかになってきている。本研究は,継続的に収集しているHPV感染者,および子宮頸癌患者サンプルを対象に,ディフェンシン遺伝子群コピー数多型が,子宮頸癌の進展・発症の個体差要因であることを明らかにし,まったく新しい視点にもとづく,子宮頸癌テーラーメイド予防医学の開発を目指す。 本研究は,患者200例およびコントロールとして妊娠女性200例から得た末梢血由来ゲノムDNAを対象として分析を行った。解析方法はTaqMan定量PCR法を用いた。アルブミン(ALB)遺伝子を全てのサンプルで常に2コピーであると見なし,ALBとディフェンシン遺伝子群に対するプローブを設計した。ここで,過去の論文で対象遺伝子とALBコピー数の比が明らかな市販ゲノムDNAサンプルをリファレンスとして用いることで,ターゲット遺伝子コピー数の絶対的定量を行った。その結果,ディフェンシン遺伝子群の一部において患者群でのコピー数が小さい傾向が認められた。現在,さらなる確認実験を継続している。
|