2009 Fiscal Year Annual Research Report
顕微授精後受精障害症例に対する治療的な人為的卵活性化法の有効性に関する検討
Project/Area Number |
21791568
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菅沼 亮太 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (30528211)
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Keywords | 体外受精 / 顕微授精 / 受精障害 / 人為的卵活性化 |
Research Abstract |
卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic sperm injection : ICSI)後の受精障害卵の発生補助の目的において、受精判定時(ヒトICSI後18時間程度)に受精障害と判定されるICSI卵をより早期に判定する方法を検討し、併せて人為的卵活性化法併用のタイミングの違いが受精・胚発生に及ぼす影響を調べ、同法の将来的な臨床応用の可能性についての検討を行っている。 1、動物モデル(マウス)^※を用いて、ICSI後受精障害卵中の精子核の状態を経時的に観察し、精子頭部の経時的変化(=精子由来染色体が脱凝縮していく)と、異なる時期に人為的卵活性化刺激を加えた場合の精子染色体に及ぼす影響と、その後の受精・発生過程に及ぼす影響についての知見を得た(=脱凝縮が進んだ後の活性化刺激では、染色体異常率が上昇し、その後の受精・胚発生が障害される)。同検討から、ICSI後、より早期の人為的活性化刺激併用の必要性が示唆された。 2、諸家の報告によると、ICSI症例中1%前後に精子中卵活性化因子が障害されていると考えられる症例が存在する。本年度、同症と診断された患者に十分なインフォームドコンセントを文書にて得たのち、治療後の余剰精子を2名分凍結保存した。次年度以降、卵活性化能・染色体異常率・人為的活性化刺激の影響等について検討予定である。 ※Alkirated Imino sugars (NB-DGJ : N-buthyldeoxygalactonojirimycin,及びNB-DNJ : N-buthyldeoxynojirimycin)摂取開始後約3週間で雄マウスは精子形成が障害され、精子頭部奇形、精子運動性障害、卵子透明帯通過時に必須のアクロソーム酵素形成障害をきたし一過性の不妊症となる。また卵活性化因子の障害も示唆されており、同薬物投与後マウスを卵活性化因子障害症例のモデルとして用いた。
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