2009 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群モデルを用いた血管内皮機能改善に向けての栄養介入の研究
Project/Area Number |
21791569
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 珠生 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 研究員 (20405210)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 血管内皮機能障害 / 一酸化窒素 / 活性酸素 |
Research Abstract |
妊娠高血圧腎症(PE)の病因はトロボブラストの子宮らせん動脈への侵入不全による子宮-胎盤血流が減少した結果、血管内皮機能障害を惹起しているとの仮説がある。我々は、PE妊婦から得た抵抗血管では内皮における一酸化窒素(NO)産生障害ではなく、その反応性の異常が発生していることを明らかにした。しかし、そのメカニズムは明らかではない。胎盤形成期に子宮血流低下を発症させた動物を作成し、ex vivo下で子宮動脈の血管内皮におけるNO産生や活性酸素(O_2^-)産生を直接的に測定し、その内皮機能の特性変化について検討した。 生後10週齢の妊娠Wistar-STラットにNO合成酵素阻害薬であるL-NAMEを、胎盤形成期である妊娠8~14日まで浸透圧ポンプを用い皮下持続投与を行った(LNAME群、n=5)。対象群は生理食塩水を投与した(n=6)。妊娠8、11、15、18日に血圧測定をした。妊娠20日に子宮を摘出し、胎仔数と重量を測定した。子宮動脈内皮温存標本を作製し、NO蛍光指示薬(DAF-2DA)や活性酸素種蛍光指示薬(CM-H2DCFDA)を添加した。倒立顕微鏡下に標本をKrebs溶液で灌流し、生体内内皮刺激物質であるアセチルコリン(Ach)添加による内皮細胞の蛍光強度の変化をfluorescence imaging systemにより経時的に測定することで、NO産生と活性酸素種産生を測定した。本研究は当大学動物実験倫理委員会の承認を得た。 L-NAME群では、収縮期血圧は有意に上昇した。胎児重量はL-NAME群で減少していた。蛍光色素を用いた検討結果では、血管内皮細胞でのAch添加によるNO産生は、L-NAME群で有意に増加していた。活性酸素種産生は両群間で有意差は認められなかった。 L-NAME投与動物は高血圧を発症し、その結果胎盤形成不全をきたしたと考えられる。その血管内皮では、細胞内のO_2^-産生は増加せず、しかしNO産生の減少もみられなかった。
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