2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791574
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相澤 志保子 日本大学, 医学部, 助手 (30513858)
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Keywords | 徴生物 / 胎盤 / インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
2009年4月に発生したブタ由来の新型インフルエンザを用いた検討を行うため、施設内の倫理委員会、バイオセーフティー委員会の承認を得てインフルエンザ患者からのウイルス分離を行った。日本大学医学部付属板橋病院の総合内科を受診し簡易検査でA型インフルエンザウイルス抗原陽性の患者からインフォームドコンセントを得て、鼻咽頭拭い液を採取した。BSL3実験室にて、鼻咽頭拭い液をMDCK細胞に加えウイルスを感染・増殖させた後に回収した。回収したウイルスからRNAを抽出しPCRにてHAのバンドを確認した。さらにHAのシークエンスを行い分離したウイルスがA/Narita/2009(H1N1)のHA配列と一致することを確認した。この臨床分離株インフルエンザウイルス(H1N1)を用いてtrophoblastへの感染実験を行った。不死化ヒト初期絨毛株HTR8,Swan71に臨床分離株インフルエンザウイルス(H1N1)を感染させ、抗インフルエンザ蛍光抗体で免疫染色したところ感染24時間後には細胞質内にウイルスタンパクが検出され、インフルエンザウイルスの絨毛細胞への感染が確認された。しかし、A/Udorn/72インフルエンザウイルス(H3N2)に比較して、抗インフルエンザ蛍光抗体で染色される細胞数が少なく、感染効率は低いと考えられる。培養上清中のHA活性も認められなかった。絨毛細胞は2009/H1N1インフルエンザウイルスに感受性があるが、他の季節性インフルエンザウイルスと比較して、特に強い感受性があるとはいえない。この結果は、スペイン風邪やアジア風邪のような以前のパンデミックでは、流産、死産などの合併症が増加したとの報告があるのに対して、2009/H1N1インフルエンザウイルスシーズンではそのような報告がみられないことのpathophysiologicalな裏付けとなりうる。
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