2009 Fiscal Year Annual Research Report
テロメレースの新機能を標的とした婦人科癌治療に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
21791579
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
毎田 佳子 Kanazawa University, 保健学系, 助教 (20397219)
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Keywords | RNA / テロメラーゼ / RNA依存性RNAポリメラーゼ / TERT / RMRP |
Research Abstract |
テロメラーゼは染色体末端のテロメアを伸長する酵素として知られている。テロメラーゼの触媒サブユニットであるhTERT(human telomerase reverse transcriptase)の発現は悪性腫瘍に高度に限定しており、hTERTはがんの診断や治療の標的分子として注目されてきた。近年、TERTがテロメア伸長以外にも細胞内で重要な機能を担っていることが示唆されている。今回、hTERTの新たな機能に注目して検討を行い、新規hTERT結合RNAとしてRMRP(RNA component of mitochondrial RNA processing endoribonuclease)を同定した。RMRPは機能性non-coding RNAであり、RMRPの異常は遺伝性疾患であるcartilage-hair hypoplasia(CHH)を引き起こす。我々の検討では、RMRPは正常細胞株からがん細胞株まで幅広く発現を認めている。 テロメラーゼがテロメア特異的なRNA依存性DNAポリメラーゼであるのに対し、hTERT-RMRP複合体はRNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有し、2本鎖RNAの合成に関与することがわかった。hTERTとRMRPとを共に発現している子宮頚癌細胞株(HeLa細胞)や乳癌細胞株(MCF7細胞)を用いた検討では、hTERT-RMRP複合体がRdRP活性により細胞内でRMRPのアンチセンス鎖を合成すること、および、これらの細胞株ではhTERT依存性にRMRPに由来するsmall RNAが合成されていることが分かった(Maida Y, et al. Nature, 2009)。特に、hTERT依存性に合成されるRMRP由来small RNAは、small interference RNA(siRNA)に類似した構造的特徴を有し、機能性siRNAと同様のタンパク質との結合が認められている。これはRMRP由来small RNAが、哺乳類で初めて同定されたRdRP依存性の内在性siRNAである可能性を示唆している。 本研究では今後さらにhTERTおよびhTBRTの新機能であるRdRP活性によって合成されるRNAに注目し、hTERTのRdRP活性が子宮癌の発生や維持、悪性化にどのように関わっているかを検討する。
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Research Products
(3 results)