2009 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞の未分化性を規定する膜タンパク質の機能的ダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
21791580
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
三浦 巧 National Research Institute for Child Health and Development, 生殖・細胞医療研究部, 共同研究員 (60405355)
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Keywords | ヒト配偶子形成 / ICSI / ES / iPS |
Research Abstract |
マウスES細胞未分化維持機能に及ぼすCD9の関与を明らかにする目的で、CD9遺伝子欠損(CD9-/-)マウス由来の内部細胞塊(ICM)より、ES細胞が樹立可能であるか検討した。(実験1:CD9-/-ES細胞樹立)受精過程において、CD9は精子が卵細胞膜と融合するために必須な分子であるため、CD9-/-マウス由来の受精卵を卵細胞室内精子注入法(ICSI)により獲得し、胚盤胞期まで培養した。次に、CD9-/-胚盤胞よりICMを単離培養し、ES細胞様の形態を示した細胞を3株樹立することに成功した。これら3株のCD9-/-ES細胞における細胞増殖速度は野生型ES細胞と同等であり、また核型の状態も正常に維持されていた。(実験2:CD9-/-ES細胞における未分化マーカーの評価)CD9-/-ES細胞がES細胞未分化マーカーを発現しているかを、以下の解析により評価した。(i)未分化時に特異的に発現する遺伝子(Oct3/4、Sox2、Nanog、Rex1)を、RT-PCR法により解析した結果、野生型ES細胞と同等の発現が確認された。(ii)上述の未分化マーカータンパク質の発現を、免疫組織化学法により解析した結果、野生型ES細胞と同等の発現が確認された。(iii)未分化時に特異的に活性が認められるアルカリフォスファターゼ(ALP)の活性化状態を、高感度の化学発光基質を用いて解析した結果、CD9-/-ES細胞のすべてのコロニーにおいてALP活性が陽性であった。以上の結果より、CD9はES細胞の未分化維持にとって必須の分子でないことが示唆された。
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