2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791587
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
二井 一則 弘前大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (40431457)
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Keywords | TNF-α / 鼓室内投与 / 内耳再生 / 自己血清点耳 |
Research Abstract |
内耳虚血モデル動物を用いた抗TNF-α抗体鼓室内投与の効果の検討 鼓室内投与の経路として、Laser Assisted Myringotomy(LAM)を利用した出血のない鼓膜開窓が最も確実かつ低侵襲な手段である。しかし、臨床において鼓室内投与を行ったあとの穿孔残存が難聴の一因として問題となることが懸念される。我々の過去の研究ではLAMを利用したステロイド鼓室注入治療で生じた鼓膜穿孔は滲出性中耳炎等に対してLAMで作成した穿孔に比べ、自然閉鎖しにくい傾向にあることがすでにわかっている。これはステロイドの抗炎症作用に起因する創傷治癒遅延作用が原因と考えられ、強力な抗炎症作用を有する抗TNF-α抗体の投与においても同様の現象が起こることが予想される。そこで鼓室注入療法後の穿孔閉鎖を速やかかつ低侵襲に行う手段として自己血清を利用した点耳療法を考案し、保存的治療に抵抗性のある慢性穿孔性中耳炎症例を対象に効果を検討した。穿孔を硝酸銀や酢酸アルミニウム液を用いて化学的に焼灼した後に穿孔上にキチン膜を留置し、あらかじめ採血した自己血10mlを遠心分離して得た血清約4-5mlを1日4回点耳する。奏効率は8割以上で従来の保存的治療法で閉鎖しなかった穿孔が閉鎖に至った。また、キチン膜で閉鎖しなかった症例に対してキチン膜の代替としてコラーゲンスポンジを穿孔内に挟みこむ手法を用いたところ全例で閉鎖に至っている。鼓室注入療法の場合、鼓膜開窓は正円窓付近の鼓膜後方に行うが、周囲に鼓索神経やキヌタアブミ関節など重要な構造があり化学的処置による副損傷を防ぐための手法も開発した。
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Research Products
(1 results)