2011 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌の浸潤・転移における変異EGFR(EGFRvIII)の関与と機序の解析
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21791590
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 真輔 秋田大学, 医学部, 講師 (90312701)
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Keywords | 頭頸部癌 / EMMPRIN / CD147 / EGFR |
Research Abstract |
EGFRは様々な悪性腫瘍においてその発現が亢進し,細胞内シグナル伝達を介して腫瘍の進展に寄与することが知られている.近年EGFRを標的とした治療法の開発が進められてきたが,頭頸部癌ではEGFRを標的とする薬剤の治療効果が十分でないことが報告され,治療成績向上のために頭頸部癌におけるEGFRによる腫瘍進展機序や関連因子の検討が必要とされた.これまでにEGFRの変異体であるEGFRvIIIによる腫瘍形成能の亢進が報告されたが,本研究ではEGFRにより発現が亢進し,腫瘍の浸潤・転移に重要な働きを持つMMPと,このMMPの発現誘導因子であるEMMPRINICD147に着目した.まず複数の頭頸部癌細胞株におけるEMMPRINの発現をウェスタンブロット法にて検出.いずれの細胞株においてもEMMPRINが発現していることを確認した.この頭頸部癌細胞にEMMPRINの刺激因子であるCyclophilinAを作用させ,その腫瘍形成に関連した諸現象を観察した.この結果,CyclophilinAは頭頸部癌細胞の増殖およびMMP-9の産生を亢進し,さらにシスプラチンへの耐性を向上させることが明らかとなった.また,CyclophilinAにより細胞浸潤能の亢進も観察されたが,この浸潤能はEMMPRINの機能阻害抗体により抑制された.この結果はCyclophilinAがEMMPRINを介して頭頸部癌細胞の腫瘍形成能を促進することを示唆する.引き続き,EGFRとEMMPRINとの相関関係につき検討を行った.EGFRの刺激因子であるEGFを頭頸部癌細胞に作用させた結果,EGFはEMMPRINの発現を亢進させることが確認された.またEGFは頭頸部癌細胞からのMMP-9産生と細胞浸潤能を亢進させることが明らかとなったが,EMMPRINの発現をsmall interfering RNA(siRNA)にて抑制すると,このMMP-9産生と細胞浸潤能の亢進が抑制された.これらの結果は,EGFR刺激によって引き起こされた腫瘍形成能をEMMPRINが媒介している可能性を示唆するものである.これらの成果は国内外の学会にて報告され,また一部の内容は英文誌に投稿掲載された.
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