2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791592
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高安 幸弘 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (70375533)
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Keywords | 前庭神経核 / 虚血 / パッチクランプ |
Research Abstract |
ラットの脳(前庭神経核を含む脳幹)スライス切片を作成し、パッチクランプ法にて前庭神経核の神経細胞の膜電位変化を記録した。まず、最初に正常細胞外液中でカレントクランプ下、自発発火の記録を行い、その後、低酸素低グルコース(Oxygen-Glucose Deprivation ; OGD)細胞外液を10分間還流させた。いくつかの細胞で還流開始5分後自発発火の増加が記録され、脱分極による興奮性の増加が予測された。次に、細胞を膜電位固定し正常細胞外液下に記録を行った。-60mVの膜電位固定下では、自発性興奮性シナプス後電流(sEPSCs)が記録され、+40mVの膜電位固定下では自発性抑制性シナプス後電流(sIPSCs)が記録された。前者はkynurenic acidにて抑制され、後者はpicrotoxinで完全に抑制されたことから、sEPSCsはグルタミン酸受容体を介する興奮性入力を、後者はGABAA受容体を介した抑制性入力を反映した電流であることが分かった。自発性電流の発生頻度は興奮性入力で少なく、抑制性入力に多く記録され、これは作成した脳幹スライスにおいて抑制性のinter-neuronとの連絡が興奮性入力に比べ優位に保持されていると解釈できた。これまでの形態学的研究でも、前庭神経核に対する興奮性入力は遠方の様々な領域からの投射によるが、抑制性入力は同一位前庭神経核に存在する抑制性神経細胞が、対側電停神経核から投射を受け、同側前庭神経核に投射する対側抑制の投射回路が示されている。すなわち、今回使用した脳幹スライスでは、この対側抑制が局所回路として保持された状態で記録できていることが示された。前庭神経核における対側抑制の経路は、前庭神経核自身の興奮性を決定する上で最重要な経路であり、これを保持した実験がパッチクランプ下にて確立したこつは重要である。現在さらに、グルタミン酸受容体を完全に抑制した条件下で、OGD刺激を行い、抑制性inter neuronの発火特性に変化が生じるかを、sIPSCを記録することで評価中である。
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