2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791594
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
杉本 晃 Chiba University, 医学部・附属病院, 助教 (50436432)
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Keywords | 骨再生 / 骨形成蛋白(BMP) / 鼓室形成術 / 中耳再建 / 耳毒性 |
Research Abstract |
鼓室形成術、乳突削開術は真珠腫などの中耳病巣を郭清して耳小骨連鎖を再建する術式で広く行われている手術である。しかし術後にcavity problems(耳漏の持続や多量耳垢の産生)がしばしば認められる。また、現在の耳小骨連鎖の再建法は連鎖に軟骨や人工物を用いられることが多いが、軟骨では伝音効率の不十分さが指摘され、人工物では異物反応を惹起し自然排出されることも多々見られる。これらの問題は、骨再生を任意に誘導することが現状では困難であることも一因と考えられる。骨形成タンパクBMP2(bone morphogenetic protein-2)は骨再生を促進する成長因子の一つであり正常骨組織を再生できうるものである。本研究ではBMP2を用い任意に骨形成を誘導することによって、これまでの鼓室形成術、乳突削開術の弱点を克服できる基盤技術を確立することを目的とした。21年度はモルモットを対象にBMP2を用い、側頭骨での外側壁での骨組織の再生を行った。側頭骨での外側壁に削開することにより大きな欠損部位を作成し、BMP2を担体に含ませ留置し閉創した。BMP2の濃度は0.5mg/cm3で、担体は1型アテロコラーゲンを使用し、4週間留置し実験をおこなった。この結果、組織的に確認することにより骨組織の再生を確認した。つぎに耳毒性をみるため聴力閾値の測定をおこなった。測定には聴性脳幹反応(ABR)を用いて測定を行った。BMP2の濃度は0.5mg/cm3でABRの測定時期は処置前、処置後4週とした。Ketamine注射による麻酔下で、刺激音は8kHzのTone burstで300回刺激しABRを測定した。処置前の聴力は35dB、4週後の聴力では40dBとなり有意な聴力閾値の上昇はなかった。これらのことからBMP2は任意の骨新生誘導に有用で、内耳毒性が認められないことが動物モデルで示された。
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