2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791594
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
杉本 晃 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50436432)
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Keywords | 側頭骨再生 / 骨形成蛋白(BMP) / マイクロCT / 鼓室形成術 / 乳突削開術 / 含気化 |
Research Abstract |
鼓室形成術や乳突削開術後の側頭骨欠損部の再建に対して、以前より軟骨、筋膜、骨片、骨パテ等が再建材料として用いられてきた。しかしそれぞれ問題点があり、現在側頭骨における骨再建法は確立されていない。またこれらの再建法では、骨組織の骨化、吸収というリモデリング能を有する生理的な正常骨にはらない。そのため現在、組織工学的手法を用いた骨組織の再建が注目されてきている。生理的な骨形成を期待できるものとして、骨形成蛋白:BMP(Bone morphogenetic protein)が注目されている。22年度、各種の骨形成因子中で側頭骨に担体に浸透させる方法を行い、BMPが最も骨再生能が高いと結論づけた。23年度は、このBMPを用い長期モデルにて観察を行った。実験方法は、モルモットに対し側頭骨に一定の削開孔を作成し、担体に投与薬物を浸透させこれを埋め込み閉創する。処置一定期間後マイクロCTにて評価する。処置後1週間で削開後処置部にわずかに骨組織の再生認め、2週間では削開後処置部に高度に骨組織の再生を認めた。1か月、2か月、4か月、6か月、12か月と、徐々に骨塩量の増加を認め、反対側未処置側頭骨の骨塩量に近づいていくのが確認できた。6か月ころから側頭骨再建部分において、含気化が認められはじめた。元来、側頭骨は含気骨に分類される。その後は徐々に骨組織の成熟化が認められ、さらに含気化も進んでいくことが観察できた。12か月の経過にて観察すると、再生側頭骨は含気化が高度に進み、本来の側頭骨に近づいているのが観察できた。これに対し骨組成解析を行い、ほぼ正常な生理的な状態に近づいていくのが確認でき、骨リモデリング能を有すると考えられた。この結果から、鼓室形成術や乳突削開術後の側頭骨欠損部に対してBMPを用いることにより、生理的なほぼ正常構造の側頭部が再建できる可能性が示唆された。
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