2009 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス制御による人工内耳成績向上・適応拡大に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
21791597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫尾 明憲 The University of Tokyo, 医学部付属病院, 助教 (20451809)
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Keywords | アポトーシス / PTD-FNK / ウロキナーゼ / 蛋白治療 / 人工内耳 |
Research Abstract |
目的 人工内耳の成績向上のためには挿入時などにおこると考えられるアポトーシスを予防することが重要である。本年度はそのための基礎的な研究を行った。 方法 ラットコルチ器細胞培養系においてカナマイシンによる有毛細胞アポトーシスに対するPTD-FNKおよびウロキナーゼの予防効果を検討した。P5ラットよりコルチ器有毛細胞を摘出し、24時間培養後2時間PTD-FNKまたは、ウロキナーゼを加えた培養液で培養後、カナマイシンを添加し12時間培養を行いホルマリンにて固定、ローダミン染色後有毛細胞をカウントし、その障害率を非投与群と比較した。PTD-FNKについては10時間の時点でCaspase-9の染色を行いコントロールとの比較も行った。 結果 PTD-FNK・ウロキナーゼいずれにおいても非投与群に比べて有意に内有毛細胞・外有毛細胞の障害率が減少した。ウロキナーゼについては20nM,2mMの濃度で行い障害率は濃度依存的に低下することも分かった。またカナマイシン投与10時間後、有毛細胞においてCaspase-9の発現が認められるが、PTD-FNKの付加によりCaspase-9の発現は有意に低下していることが示され、PTD-FNKのミトコンドリアを介したアポトーシス抑制が証明された。 研究の重要性 本年度の研究よりPTD-FNKおよびウロキナーゼがアポトーシスを抑制する有用な因子であることが示唆された。これをもとに来年度はIn Vitroの実験・特に人工内耳モデルへの応用を行っていく予定である。PTD-FNKの結果は21年AROにて発表し、現在投稿中である。ウロキナーゼについては今後さらに検討を加え発表を行う予定である。
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