2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス制御による人工内耳成績向上・適応拡大に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
21791597
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
|
Keywords | ウロキナーゼ / アポトーシス / アミノ配糖体 / 有毛細胞 / 内耳 |
Research Abstract |
目的:人工内耳の成績向上のためには挿入時などにおこると考えられるアポトーシスを予防することが重要である。本年度もそのための基礎的な研究を行った。 方法:1.ラットコルチ器細胞培養系においてカナマイシンによる有毛細胞アポトーシスに対するウロキナーゼの予防効果を検討した。P5ラットよりコルチ器有毛細胞を摘出し、ウロキナーゼ(20uM, 2mM)を加えた培養液で1時間培養後、カナマイシンを添加し12時間・24時間培養を行いホルマリンにて固定、ローダミン染色後有毛細胞をカウントし、その障害率を非投与群と比較した。2.白色モルモット正円窓上にウロキナーゼをゼラチンに浸し置き、1時間後カナマイシン筋注、さらに3時間後にエタクリン酸の静注を行い2週間後の聴力変化を確認した。 結果:1.ウロキナーゼ投与群では、非投与群に比べて有意に内有毛細胞・外有毛細胞の障害率が減少した。さらに20uMと2mMを比較すると障害率は濃度依存的に低下することも分かった。この結果は12時間後のみならず24時間後でも同様であり、24時間後には非投与群ではほぼすべての有毛細胞が消失するにもかかわらず、ウロキナーゼ2mM投与群では、??%の障害にとどまった。2.聴力はウロキナーゼ投与群で閾値上昇が軽減する傾向はあったが有意差は認めなかった。今後nの拡大が必要である。また、ウロキナーゼは高分子であり正円窓膜を頭化できていない可能性もある。今後のさらなる研究が必要である。 研究の重要性:本年度の研究よりウナーゼがアポトーシスを抑制する有用な因子であることが示唆された。この成果の一部は本年ARO学会にて発表。現在投稿準備中である。
|
Research Products
(9 results)