2009 Fiscal Year Annual Research Report
加齢性嗅覚障害の病態生理解明とその診断・治療法開発のための分子生物学的研究
Project/Area Number |
21791598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 健二 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (40334370)
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Keywords | 嗅粘膜 / 老化 / 再生 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.加齢に伴うマウス嗅上皮の神経新生、分化過程及びアポトーシスの変化の解析 【方法】10日齢から16ヶ月齢のマウスにBrdUを投与し、投与後2時間から90日後までの各時点で各群数匹ずつ固定、鼻腔組織試料を作成した。切片に抗OMP抗体と抗BrdU抗体による2重染色を行い、BrdU陽性細胞の分布の時間経過による変化、及び同細胞がOMPと2重陽性になる時間経過を年齢群間で比較した。また切片にTUNEL染色を行って、単位上皮長あたりのTUNEL陽性細胞の数を年齢群間で比較した。【結果】加齢とともに単位上皮長あたりのBrdU陽性細胞数及びTUNEL陽性細胞は減少した。一方BrdUとOMPとの2重陽性細胞はいずれの年齢群でも投与後7日目に出現した。【考察】生理的加齢に伴って基底細胞の増殖とアポトーシスの頻度は減少していくことが示された。一方神経細胞の分化過程は加齢によらずほぼ一定であることが示唆された。 2.エストロゲンによる嗅粘膜の保護機能に関する検討 【方法】生後2ヵ月の雌マウスを正常卵巣群、卵巣摘出群、卵巣摘出+エストロゲン投与群、の3群、雄マウスをエストロゲ非投与群、エストロゲン投与群の2群に分け飼育を開始した。エストロゲン投与群では週1回持続型エストロゲン製剤の筋注を行い、それ以外の群では溶剤であるゴマ油のみの筋注を行って9ヶ月間飼育ののち固定、嗅粘膜の組織標本を作製した。現在嗅粘膜の変性の程度や酸化ストレス物質の蓄積の程度を組織学的に評価中である。 3.エストロゲンβ受容体ノックアウトマウスにおける嗅粘膜の変化の解析 【方法】嗅粘膜に強い発現が認められるエストロゲンβ受容体のノックアウトマウスを米国ジャクソン研究所から購入、輸入し現在繁殖飼育中である。今後嗅粘膜の構造、嗅覚行動検査、加齢に伴う変化等を野生型とホモ欠損型で比較検討する計画である。
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