2010 Fiscal Year Annual Research Report
加齢性嗅覚障害の病態生理解明とその診断・治療法開発のための分子生物学的研究
Project/Area Number |
21791598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40334370)
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Keywords | 嗅粘膜 / 老化 / 再生 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1、嗅神経上皮再生過程に加齢変化が及ぼす影響の解析 抗甲状腺薬であるメチマゾールを用いた各年齢群の嗅上皮傷害モデルマウスを組織学的に解析し、高齢マウスも神経上皮や嗅球への軸索投射を再構築する能力を有しているが若齢マウスと比較すると組織再生は不完全に終わること、その原因として基底細胞の分裂能の低下による神経新生能低下が主として関与している可能性を示した。 2.上気道ウィルス感染後嗅覚障害の病態生理に関する実験的解析 ウイルス感染モデルとして用いられるPoly (I:C)(合成二本鎖RNA)をマウスに経鼻投与し、嗅神経上皮の変性とそれに引き続く再生が約1カ月の経過で起こること、またその病態生理に免疫応答で粘膜に浸潤する好中球の2次的な組織傷害が関与している可能性を示した。 3.嗅粘膜におけるライソゾームの分布に関する免疫組織学的検討 ライソゾーム膜に特異的に発現するLAMP-2に対する免疫組織染色を用いて嗅粘膜におけるライソゾームの分布を検討し、支持細胞の基底部とボウマン腺に集積していることを示した。この分布は過去に報告された加齢による細胞内酸化蓄積物であるリポフスチンや他の酸化ストレスマーカーの蓄積部位と一致し、さらに加齢に伴う嗅粘膜の変性の好発部位とも一致していた。 4.嗅粘膜の恒常性維持にエストロゲンが果たす役割の解析 嗅粘膜に発現が認められるエストロゲンβ受容体のノックアウトマウスを繁殖飼育中である。現在12ヶ月齢に達した動物について順次嗅覚検査および組織採取を行っている。今後嗅粘膜の構造、嗅覚行動検査、加齢に伴う変化等を野生型とホモ欠損型で比較検討する計画である。
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[Journal Article] Age-related changes in cell dynamics of the postnatal mouse olfactory neuroepithelium : cell proliferation, neuronal differentiation and cell death2010
Author(s)
Kondo K, Suzukawa K, Sakamoto T, Watanabe K, Kanaya K, Ushio M, Yamaguchi T, Nibu K, Kaga K, Yamasoba T
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Journal Title
J Comp Neurol
Volume: 518
Pages: 1962-1975
Peer Reviewed
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