2009 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌におけるB7-H3分子発現の免疫学的意義と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
21791605
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
森山 元大 University of Yamanashi, 医学部附属病院, 医員 (00402074)
|
Keywords | B7-H3 / 頭頸部扁平上皮癌 / 免疫抑制 / 共刺激分子 |
Research Abstract |
B7-H3は最近同定された共刺激分子でB7 familyのうちの一つである。B7-H3分子は抗原提示細胞以外に癌にも発現していることが、非小細胞肺癌や卵巣癌、前立腺癌において免疫組織化学的手法を用いて報告されている。マウスの実験ではB7-H3遺伝子導入腫瘍細胞が免疫原生の増強やCTLの活性化をきたすという報告がある一方、臨床試料を用いた検討ではその発現が予後不要と相関していると報告されており、costimulationとcoinhibitionの両面を持つと言われている。 これまでにB7 familyのうち、他の共刺激分子であるB7.1,B7.2,B7-H1,B7-H2,B7-H4とともに、頭頸部扁平上皮癌細胞株におけるその発現レベルをフローサイトによって調べたところ、その発現強度は細胞株及び共刺激分子によって様々であった。最近、メラノーマを使った系においてABCB5をマーカーとして分離された癌幹細胞が癌細胞上の共刺激分子であるB7.2を介して制御性T細胞の誘導やIL-10産生の増強によって非癌幹細胞に比べて有意に免疫抑制に働いていることが報告された。頭頸部扁平上皮癌においてはCD44+細胞が癌幹細胞のマーカーとして報告され、我々もCD44+細胞について細胞生物学的な検討を進めており、このポピュレーションが免疫抑制に強く関わっていることを明らかにしつつある。頭頸部扁平上皮癌においてもCD44+癌幹細胞が免疫抑制を引き起こすメカニズムとして、B3-H3をはじめとする共刺激分子からのcoinhibitionが関わっている可能性が考えられる。現在、頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いてCD44+細胞とCD44-細胞における共刺激分子発現の差について検討をしており、発現差を認めるようであればT細胞応答や制御性T細胞誘導にどのような影響を及ぼすかについて解析していく予定である。
|
Research Products
(2 results)