2011 Fiscal Year Annual Research Report
CDH23遺伝子の大規模スクリーニングと難聴発症のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21791607
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
我妻 道生 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (00419409)
|
Keywords | CDH23 / 遺伝子 / 感音難聴 / スクリーニング |
Research Abstract |
CDH23遺伝子は、10q21-q22に位置し69個のexonから構成されている。コーディングされる蛋白質は10065塩基・3354アミノ酸からなる。27個のextracellular domainにより構成されており、細胞膜を1回貫通する膜蛋白質で細胞間接着因子の働きをしている。内耳の有毛細胞上に存在しPCDH15と共結合し動毛・不動毛間を架橋し、音刺激や前庭刺激を有毛細胞内に伝えイオンチャネルの開閉を制御している聴覚にとっては大変重要な分子である。 過去の報告では、DeletionやNonsense mutation等蛋白質が大きく変化する場合は網膜色素変性症を併発するアッシャー症候群タイプ1Dを発症し、Missense mutation等蛋白質が大きく変化しない場合は、常染色体劣性遺伝形式をとる非症候群性難聴(DFN12)を発症することが、過去の報告で明らかとなっている。 本年度は、当研究施設で日本人非症候群性難聴患者1845検体に対してCDH23遺伝子変異解析を実施したところ、17種類の新しいmisssense mutationを発見した。また、見出された変異に関して臨床像のとりまとめを行ったところ、多くのケースで低音部に残存聴力を有する高音漸傾型の難聴を呈すること、また進行性の難聴となることを明らかにした。また、見出された変異のうちR2099W変異のホモ接合体変異では発症年齢が50歳代と非常に遅く、遅発性あるいは緩やかな進行性の経緯をとることが明らかと成った。このことはC57BL6Jマウスが加齢性難聴の表現型を呈する原因遺伝子変異がCDH23に見つかるという過去の報告と一致する興味深いものであった。また、結果を論文として取りまとめた。
|