2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素理論に基づく内耳性難聴の病態モデル作成と新しい予防的治療戦略の構築
Project/Area Number |
21791611
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 弥生 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任研究員 (00452350)
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Keywords | 耳科学 / 抗加齢医学 / 活性酸素 / 水素 / ガス医療 |
Research Abstract |
本研究は、蝸牛にフリーラジカル(活性酸素)がおよぼす影響について、まず蝸牛体外培養系での直接発生法・測定法を確立し、これをもとに新規抗酸化物質としての水素分子(水素ガス)を感音難聴治療薬として臨床応用へ展開するための研究基盤を確立することを目的としている。 1.アンチマイシンAを用いた直接活性酸素発生系の構築 a.内耳活性酸素発生量可視化システムの確立 マウス蝸牛体外培養とHPFを用いた実験系により、フリーラジカルの組織内での発生を可視化する方法を開発し、さらにこれを応用して活性酸素の発生を定量的・定位的に測定可能な方法を開発した。具体的にはコンフォーカル顕微鏡を用いた断層撮影により、蝸牛内のどの部分で活性酸素が発生しているのかを識別・測定した。 b.酸化マーカー定量法の開発 脂質酸化マーカー4-HNEおよびDNA酸化マーカー8-OHdGのELISA(酵素結合免疫吸着)法を確立し、酸化物のin vitro/in vivo双方の系での定量を可能にした。 2.水素分子(ガス)の内耳での抗酸化作用・感音難聴効果の検証 a.老化モデルマウスへの水素飽和水投与、抗加齢効果 DBAマウスはCdh23ahl(カドヘリン23遺伝子)上に変異をもつ早老マウスである。このマウスに水素飽和水を投与することで、老化による聴覚障害の防止効果を調べた。12-16週では水素水群で聴力低下が抑制され、結果として水素水が老人性難聴に対する一定の予防効果を有することが明らかになった。 b.マウス、モルモット音響外傷モデルの確立 さらに騒音性難聴モデル(TTS、PTSモデル)の蝸牛を回収し、上記のELISAシステムが使用可能かどうかを検討した。モルモットで音響曝露実験を行い、水素ガス効果判定のための至適条件を決定した。経時的に聴力評価(ABR)を行い、その後組織採取し、蝸牛有毛細胞のカウントを行った。
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Research Products
(4 results)