2010 Fiscal Year Annual Research Report
複合音マスキングの脳磁場解析による耳鳴ジェネレーターの解明
Project/Area Number |
21791612
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平海 晴一 京都大学, 医学研究科, 助教 (10374167)
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Keywords | 脳磁場計測 / 耳鳴 / スペクトラム解析 / 空間フィルター |
Research Abstract |
耳鳴のマスキングの中枢における効果を、脳磁場の周波数解析により検討する課題において、下記の成果を得た。 脳磁場計測計は、VectorViewを用い、記録周波数は0.10-200Hz、サンプリングレートは600Hzで記録を行った。耳鳴患者において1000Hz純音による聴性誘発磁場を計測、音刺激後約100msに生じるN100mと呼ばれる反応を用いて最も聴覚野の反応を反映するチャンネルを選択し、聴覚野の自発活動を測定する部位を決定した。 その後、静寂環境下、および70dBSPLのホワイトノイズ両耳マスキング下で、5分間自発脳磁場を計測した。離散フーリエ変換を用いて自発脳磁場のパワースペクトラムを算出し、各周波数でlaterality index=(L-R)/(L+R)を計算した。このうち、耳鳴と共通の機序が想定されている幻肢痛で反応の変化が報告されているガンマ帯域(30-50Hz)のlaterality indexを積算した。 その結果、静寂環境下ではガンマ帯域でのパワーは全例耳鳴と反対側に偏寄していることが分かった。マスキングの負荷によりlaterality indexの絶対値は全例で小さくなり,またガンマ帯域でのパワーは静寂環境下に比べて健側に移動することがわかった。 耳鳴は客観的な評価法が存在しないことから有効な治療の開発が進んでいなかったが、この方法により、少なくとも耳鳴の有無が客観的に評価できる可能性がある。 今後は突発性難聴など耳鳴が改善・治癒する可能性のある疾患の患者で経時的に計測を行うことにより、耳鳴の強さがガンマ帯域におけるlaterality indexで評価可能かどうかを検討する予定である。
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Research Products
(7 results)