2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規難聴遺伝子Triobpの解析 ~不動毛の「根」の形成と聴覚~
Project/Area Number |
21791615
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北尻 真一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00532970)
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Keywords | 内耳 / 遺伝性難聴 / 不動毛 / アクチン |
Research Abstract |
Triobp各アイソフォーム特異的ノックアウト(KO)マウスの作製を引き続き行っているが、現在までのところキメラマウスからヘテロマウスが出生してきていない。新しいキメラマウスを得るため、再度ES細胞をインジェクションしている。なおTriobp-4/5 KOマウスをTriobp-1/5 KOマウスと交配させる事でTriobp-4のレスキューを試みたところ、Triobp-4/5 KOマウスに比べて軽度の難聴が認められた。この実験系ではTriobp-1やTriobp-4がヘテロになってしまうが、これらが保たれるTriobp-5特異的KOマウスでも軽度難聴という独自性のある表現形が期待できる。 また、Triobpアイソフォームやヒト遺伝難聴の変異をミミックしたTriobp断片を発現するアデノウイルスベクターを作製したが、有毛細胞への感染・発現はほとんど見られなかった。ウイルスベクターの改良、感染条件の検討を行うと同時に、遺伝子銃など他の導入方法も検討している。 Triobp-1/5 KOマウスは、胎生約10日前後で致死であることが分かった。致死の原因となる表現形を全身で検索している。 Triobp各アイソフォームや断片を培養細胞へ導入したり、蛋白を精製してアクチンと結合させる実験も進んでいる。Triobp-4内にある2カ所の反復配列のみならず、その間の部分のみでもアクチンと結合しうる事が分かってきた。Triobpのアクチン結合部位には既知のアクチン結合ドメインがなく、これらがどのようにアクチンと結合し束化するのか、より詳細な構造解析を慎重に行う必要がある。現在はまず、繊維芽細胞株と上皮細胞株の双方でアクチンと共局在するかどうかを確認した上で、Triobp各アイソフォームや断片がアクチンと結合する強さを生化学的に定量している。
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