2010 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭再生を目指したウサギ食道の再生-PGAシートによる組織工学-
Project/Area Number |
21791629
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
三浦 智広 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00423806)
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Keywords | PGAシート / 咽頭再生 / 食道再生 |
Research Abstract |
研究の目的:ウサギ下咽頭(食道)欠損を拡大したモデルの作成。 研究実施計画:JW種ウサギ下咽頭の欠損範囲を拡大したモデルを作成しPGAシートによる組織再生の可能性について検証する。 成果の具体的内容:昨年の研究にて、ウサギの下咽頭~食道にアプローチする手法として、頸動静脈・迷走神経を胸鎖乳突筋ごとflapとして翻転する方法を確立した。また、食道の粘膜~筋層までの全層欠損モデルにおいて、欠損サイズが縦12mm横10mmまでであれば、PGAシートによる再建で長期生存(1ヶ月以上)が可能であることを証明した。本年度はこの欠損範囲を拡大すべく、縦・横共に20mmの欠損モデルを作成したが、横20mmはほぼ全周欠損となるため、PGAシートの強度が足りず、術後数日で死に至った。一方で、横方向の欠損サイズが10mmであれば、縦は20mmの欠損でも生存可能なウサギも存在した。PGAシートによる粘膜再生の過程を調べるため、術後1週間から、2・4・6週例の標本を作成したところ、2~4週のモデルにおいてPGAシートはほぼ吸収されて消失していた。 意義:本研究は(1)PGAシート単独で被覆するという極めてシンプルな手技で、(2)食道という消化管の全層欠損を再生できる可能性を示した、極めて興味深い研究である。PGAシートはすでに医療材料として、肺・口腔・肝臓などの手術で臨床使用されている素材であり、人体への応用が可能である点も意義深い。 重要性:癌の術後や外傷などで下咽頭~頸部食道の部分欠損に陥った患者に対して臨床応用が期待できる。PGAシートそのものの補強をどう工夫するか、更なる研究が必要と考えられる。
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