2010 Fiscal Year Annual Research Report
手術時における脂肪組織含有幹細胞群の回収方法と移植法の開発
Project/Area Number |
21791631
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 輝久 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80508812)
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Keywords | 脂肪組織由来細胞 / 多分化能 |
Research Abstract |
再生医療では主に骨髄由来の幹細胞が注目されてきたが、患者に危険や侵襲を伴い,得られる細胞数も限られていた。それに対し,脂肪由来の幹細胞は、手術で本来捨てられる際の脂肪組織からも採取でき、また,治療に必要となる十分な細胞数を容易に得ることが可能であり、それらの点は自家移植に適しており、倫理的な問題も少なく安全性からも有利な点が多い。平成21年度、説明と同意の上で、ヒト手術標本から不要となった脂肪組織を採取し、脂肪組織由来の細胞群を採取することが可能であった。また、同細胞群をフローサイトメトリーで解析した結果、間葉系幹細胞に関連した細胞表面マーカーであるCD90,CD105の発現率は、それぞれ83.3%,65.6%となり,得られた細胞が幹細胞の性質を有している可能性が高いことを確認することができた。平成22年度はヒト脂肪組織含有細胞群を成長因子、調整因子としてlnsulin、TGF-beta1を使用し軟骨細胞の誘導を行うことが可能であった。また、Insulin、dexamethasone、IBMXを使用した誘導培地で脂肪細胞への誘導も可能であり、得られた細胞群の多分化能が確認できた。それらの細胞群をヌードラットの頸部皮膚欠損モデルを作成移植実験を行った結果、脂肪組織含有細胞群を移植した場合、組織学的に線維芽細胞の遊送が促進され創傷治癒が進んでいた。ラット由来の脂肪組織含有細胞群を気管障害モデルへの自家移植実験でも気管上皮再生促進の確認ができ、ヒト由来脂肪組織含有細胞群を自家移植した場合、気管再生に大きく寄与できる結果と考えられた。細胞回収において酵素分散法を使用するため、反応温度を高めにすることで、細胞回収時間を短縮できた。このことは手術時の細胞回収効率をあげ臨床応用に有効であると考えられた。
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Research Products
(2 results)