2009 Fiscal Year Annual Research Report
有毛細胞不動毛におけるアクチン代謝制御に関する研究
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21791635
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松波 達也 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (40515954)
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Keywords | PTPRQ / 有毛細胞 / 不動毛 / アクチン / イノシトールリン酸 |
Research Abstract |
PTPRQ(protein tyrosine phosphatase receptor Q)は内耳有毛細胞の不動毛に局在する膜蛋白であり,同分子の変異は不動毛の形態異常を生じる.本研究ではPTPRQが不動毛や微絨毛のようなアクチン突起の形成に及ぼす影響を,PTPRQの過剰発現ならびに異種性発現モデルを用いて検討した.GFPを結合した全長型PTPRQ,細胞外ドメイン欠失変異体,細胞内ドメイン欠失変異体の発現コンストラクトを作成し,蝸牛有毛細胞,支持細胞もしくはCOS7細胞に導入して,PTPRQの細胞内ターゲティングとアクチン突起形成に及ぼす影響を検討した.PTPRQの過剰発現により有毛細胞における不動毛の長さは変化しなかったが,全長型もしくは細胞内ドメイン欠失変異体を異種性発現した支持細胞において微絨毛は伸長した.PTPRQの異種性発現によるアクチン突起の伸長はCOS7細胞でも認められ,糸状仮足の長さおよび数が有意に増加した.本研究によりPTPRQの細胞外ドメインは支持細胞の微絨毛およびCOS7細胞の糸状仮足の伸長を促すことが分かった.PTPRQの細胞外ドメインは長く柔軟なファイブロネクチンドメインリピートで構成されているため,細胞膜で高分子ポリマーを形成して円柱状の曲面形成を安定させることでアクチン突起の伸長を促しているのではないかと考えられた.PTPRQの局在する不動毛基部では細胞膜の著しい曲面形成が見られ,PTPRQ欠失有毛細胞ではこのような特徴的な曲面形成が失われることから,PTPRQ細胞外ドメインは不動毛基部の形態維持に関わる可能性が示唆された.本研究で有毛細胞におけるPTPRQの機能の一端が示されたことにより,聴覚受容の分子機構の解明につながることが期待される.
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Research Products
(1 results)