2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性中耳炎におけるインフルエンザ菌のバイオフィルム形成に関する研究
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21791637
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
竹井 慎 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40347589)
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Keywords | 急性中耳炎 / バイオフィルム / インフルエンザ菌 |
Research Abstract |
無莢膜型インフルエンザ菌Nontypeable Haemophilus influenzae(NTHi)は遷延性、反復性の中耳炎と関係が深い。近年の中耳炎の難治化には薬剤感受性の低下や小児免疫機能の未熟などが原因とされていたが、バイオフィルム形成も関与することが報告されている。 当施設で中耳炎患児より採取した無莢膜型インフルエンザ菌70株のバイオフィルム形成能を検討すると,バイオフィルム形成能は株によって大きく異なり、様々なバイオフィルム形成能を持つことが判明した。また、アモキシシリン治療に難治性である群では、治療により改善した群と比べ、バイオフィルム高形成のインフルエンザ菌が統計学的有意に多く検出され、バイオフィルムが治療効果に影響することが示された。 細菌の抗菌薬感受性試験として、最小発育阻止濃度MICは浮遊菌に対する効果を的確に評価できるが、バイオフィルム状態の細菌に対する効果を評価することはできない。バイオフィルム細菌の感受性を評価できる新しい方法として最小バイオフィルム抑制濃度minimal biofilm eradication concentration (MBEC)を検討した。これはin vitroでバイオフィルムを形成した細菌に対して抗菌薬を段階希釈して投与し、感受性を表したものである。 抗菌薬の種類によって、MICとMBECの関係は様々な様相を示し、バイオフィルムに対する抗菌薬の効果は浮遊菌に対する抗菌薬の効果と全く異なるものであった。アモキシシリン、セフジトレンといったβ-ラクタム薬はバイオフィルム内細菌に対して効果は低く、レボフロキサシンやクラリスロマイシンは良好な感受性を示した。抗菌薬選択にはMICだけではなく、バイオフィルムに対する抗菌薬感受性を考慮することが、重要になると思われる。
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